Aile The Shotaが作品とともに語る、デビューから3年間の軌跡、音楽性の追求
DREAMS COME TRUE「空を読む」を歌う理由
―『REAL POP』の11曲の中で、今Shotaさんが作りたいポップスの最高到達点は? うわあ! 角度にもよるんですけど、リリックの面で一番「REAL POP」なのは「Foolish」。超等身大の歌詞で、どこまでも自分のことなんだけど、大衆も「わかる」という感覚だと思うんですよ。これは大学の友達と飲んでる日に書いて、次の日に1日でばーっと作った曲なので、Aile The Shotaになる前の大学生の時の僕の感覚とかも入ってて、すごく「REAL」で「POP」だなって思う。メロディでいうと……「踊りませんか?」なのかもしれない……「Memoria」も…‥いや、全部かも。 ―「愛のプラネット feat. dawgss」も「REAL POP」を象徴してますよね。大きなテーマを歌ってるけど、その中でShotaさんがいつも考えているようなことがぽろっと出てるような感じもあって、しかもそれがキャッチーにまとまっているのがすごくいいなと思いました。 メロディの作り方はわかりやすさを意識しましたね。奏ちゃん(dawgss・森光奏太)と、みんなで歌えるようにしたいよねって。歌詞は、「REAL POP」なアーティストでいる中で忘れたくない意義や意思だと思っていて。俺はちゃんと「戦争反対」や「世界平和」を言いたいし、それを音楽の中でしっかり表現したい。それは影響力を持った人として言わなくてはいけないことのひとつだと思うんです。これも等身大だし、みんなにとっての等身大でもあると思います。 ―さっき言ってくれた「Memoria」は、めちゃくちゃ反響が大きい気がしてるけれども、実際はどうですか?(『BMSG FES’24』のユニット・BMSG MARINE名義でリリース。アルバムにはセルフカバーを収録)。 めっちゃくちゃ反響大きいですよ。びっくりしましたもん! ―この曲からは、どういった手応えや自信をもらいましたか? いい曲だと言われることが、超嬉しくて。というのも、トップラインでLOARくんが入ってくれてはいるんですけど、いつもと同じ感覚で作った曲だから。自分がいいと思う曲と、大衆がいいと思う曲は近いんだなと思えたし、リアルなままでポップスを作れる人間なんだと思いました。あとはプロデューサーとしての自分の強みに、どうしてもめちゃくちゃ気づかされて。BE:FIRST「Genesis」もそうだけど、プロデュースする相手を「REAL POP」にできるなと。ダサいことは絶対にさせない。プロデューサーとしての武器も見つけられた気がします。「この人のためのフロウを書こう」とかは、自分のクリエイティブの中では使わない引き出しを使う作業だったりもして、単純に勉強にもなりましたね。Aile The Shotaが3つのユニットのひとつをやって、メロディに全振りするなら、今年の『BMSG FES』で一番いい曲じゃなきゃいけないとは思ってました(笑)。 ―そのセルフカバーを入れようと思った理由は? 作った時から決めてました。理由は、めっちゃいい曲だから(笑)。もっと聴いてほしい曲だとも思ったし。「Memoria」で気づかされたのは、大切な仲間に対して全振りで頑張った時の見返りの量。無償の愛というか。それにすごく感動したんですよね。多分、それが僕の人生なんだと思います。 ―DREAMS COME TRUE「空を読む」のカバーは、どういう想いから選曲したものですか? カバーアルバムとか、J-POPシーンにおけるカバーカルチャーは好きで、影響を受けているので、Aile The ShotaとしてJ-POPのカバーはやりたいなと思った中で、自分が最初にカバーをするならドリカムだと考えていました。ドリカムは、音楽を好きになる前から母親の影響で身体に流れていて、クリエイティブをすればするほど、意識的にドリカムのいろんな曲を聴けば聴くほど、影響を受けていることに気づかされます。しかもドリカムと同じステージに立ったり近い経験をさせてもらったりする中で、よりすごさがわかって、憧れの解像度も上がっていて。好きな曲もカバーしたい曲もいっぱいある中で、Aile The Shotaとして今歌ってしっくりくるものを選びました。最初に浮かんだのが「空を読む」で、本当に色々改めて聴いた上で、結局これになりましたね。でもまだまだ歌いたい曲はめっちゃある。“どうして人は空を 見上げるんだろう?”というフレーズはずっと自分の中に残ってるもので、自分の心に一番近かったのが「空を読む」だったんですよね。 ―中村正人さんのこのコメントを受け取った時は、どう思いました?(コメントの内容「Shotaがカバーしてくれてとても嬉しいです。アルバムの完成を心待ちにしています。陰ながらずっと応援しています」) いやめっちゃ嬉しかったです。泣いたっす。親がめっちゃ泣いてました。一生頑張りたいし、もっと夢見たいですね。ドームで『DREAMS COME TRUE WONDERLAND』を見に行かせてもらって、僕が憧れたポップアーティストの姿を見て……やっぱり目指したくなっちゃうんですよねえ。 ―ドリカムに憧れるのは、一言で言ってしまえば、まさに「本質的であり大衆的である」というところですか? そうです。(吉田)美和さんは踊りまでめちゃくちゃ上手いので。「振付がいい」「キレがいい」とかじゃなくて、さらにその奥の上手さというか。僕はちっちゃい頃からドリカムが連れてきてくれているカルチャーな部分に触れて、J-POPの中で洋楽のリズム感とかを補っていたんだなとあとから思いました。そういうところも含めて、一生憧れですね。 ―しかもこの曲のShotaさんの歌、めちゃくちゃいいですよね。 唯一、コーラスを一本も入れてないので。歌への憧れの原点に対するリスペクトがあるから、ストイックにボーカリストとしての側面を出そうと思いました。アレンジは「好きにしていいよ」と言っていただいて、コーラスワークの武器を使うことも浮かんだんですけど、それこそ日髙さん(SKY-HI)にも「どうですかね?」ってアドバイスもらいながら何段階もアップデートしていく中で、HiromuのピアノとLo-Fiなビートの上でボーカルは一本だけにしました。 ―2025年3月の『Aile The Shota Oneman Live 2025 at 東京ガーデンシアター』に向けては、今どんな想いがありますか? もう全部やりますよ、という姿勢です。「REAL POP」というものを自分の中で確立して、音楽的アーカイブも揃って、プロップスもある程度整っているからこそ、今やれることを全部やったとて、燃え尽きてしまうことは何もないと思えているので。本質的で大衆的なライブになると思います。音楽ファーストなライブにはしたいですよね。エモーショナルな瞬間はあると思うけど、そこが主役じゃなくて、「あそこのライブ、めっちゃいいよ」って言われて、なんでいいかというと「曲がいいから」っていうだけのものをやりたいです。それが「外に広がっていくこと」だと思うから。 ―本質的で大衆的なアーティストのライブって、その人のストーリーを知ってなくとも、そんなに曲の予習をしてなくても、そこに行けば楽しめるというものだったりするから。 そう、そういうものにしたいですよね。知りたいと思ったら知ってもらって、そうしたらもっと楽しくなると思うし。 ―最後に、デビュー時のインタビューで言ってくれていた言葉を2つ持ってきたんですけど……。 うわ、やばい! なんて言ったんだろう(笑)。 ―「いい歌詞を書き続けられるように、いい日常を送り続けたい」。それは、この3年間できていたと思いますか? うわやばいな、そう言ってるの(笑)。今またそこに帰れてる気がします。やっぱり日常が非日常になっちゃった3年間だし、今まで通り友達に会えてるかというとそうじゃないし、失ったものももちろん多いし。だからこそ心がけたくて、「Foolish」みたいな洗練された日常のものを大事にしたい。「いい歌詞を書き続けられるように、いい日常を送り続けたい」、たしかにこれは改めて掲げようと思います(笑)。 ―もう一個は、「自分が好きな自分で居続けたい」「僕自身がAile The Shotaのファンでいたい」。 それはもう、変わらず。そこが「本質的」の部分だと思うので。……うわあ、それ、どっちも大事ですね。俺、霊感はないんですけど、気がいいか悪いかはわかって、今はめちゃくちゃ気がいいんですよね。ここ(BMSGの自社ビル)ができたこともデカいかも。身近にある大切なものがさらに近くなるのが、このビルなので。BMSGの仲間は、本当に求めていた存在だなと思います。志が同じだけど家族みたいな仲間って、なかなか出会えないじゃないですか。だからBMSG、すごいですよね。今年の『BMSG FES』のステージでハートマーク作った時、びっくりしたでしょ? あれって、素なんですよ。友達の前でふざけてやる感覚。それを今までは「ハートをやったらアイドルと思われるかも」みたいな邪念があった。そうやって気にしすぎていた部分を気にしなくなるほど、何が大事かをわかってきた気がします。 『REAL POP』 Aile The Shota Bullmoose Records 発売中 01. 踊りませんか? (Prod. Chaki ulu) 02. Eternity (Prod. aka Perry) 03. sweet 04. さよならシティライト (Prod. Chaki ulu) 05. Foolish (Prod. aka Perry) 06. umeiro (Prod. hin akiura) 07. FANCI feat. oulflex (Prod. oulflex) 08. 愛のプラネット feat. dawgss 09. 空を読む 10. Memoria -self cover- (Prod. Aile he hota, MONJOE, LOA, Hiromu) 11. NEBLA (Prod. LO) Aile The Shota Oneman Live 2025 at 東京ガーデンシアター 2025年3月16日(日) OPEN 16:00 / START 17:00 会場:東京・ガーデンシアター
Yukako Yajima