「無実の人が無罪になると限らない」 有罪率99%の壁に挑む刑事弁護人 幼児虐待疑われた1審有罪の被告を信じて
川崎弁護士は、一審での後悔を胸に、検察側医師への反対尋問を自ら担当することにしました。 【川﨑拓也弁護士】「先生の意見として、(出血は)心肺停止より前なのですか?後なのですか?」 【検察側医師】「端的に言ったら、前でしょうね」 【川﨑拓也弁護士】「後ろの可能性はないということでいいですか」 【検察側医師】「あくまでも組織でしか見ていないから、分からないですよね」 【川﨑拓也弁護士】「もう一度だけお聞きします。先生が見られた組織初見の中で(出血は)心肺停止より前の可能性と後の可能性、両方ありえますよね」 【検察官】「異議があります。議論にわたっています」 【川﨑拓也弁護士】「聞いていることに答えられていないので、何回か聞いているだけです」 【裁判長】「異議は棄却します」 【川﨑拓也弁護士】「心肺停止より前の可能性もあるし、後ろの可能性もある。それが先生のご意見ではないんですか」 【検察側医師】「区別ができない部分があっても、おかしくはないと思います」 このやりとりについて、次のように振り返りました。 【川﨑拓也弁護士】「あれは本来、秋田先生がやるべき反対尋問を『やらせてほしい』って言って、やったんで。もうめっちゃ緊張してて、吐きそうになってたんですけど、あれは自分の中でもうまくいったなと思うし、あそこが勝負だと思ってましたから」
■異例の保釈 「2審判決」は11月28日
2審は、2024年5月に結審。そして2カ月後、異例の事態が起きました。 【川﨑拓也弁護士】「(電話を受け)棄却?ありがとうございます。早めに行きます」 電話を切った瞬間、安堵の表情を浮かべました。 【川﨑拓也弁護士】「棄却された。保釈ですね。良かった!良かったです」 およそ5年半ぶりに保釈された今西被告。拘置所から出てきたと同時に、川崎弁護士と抱き合いました。
【今西貴大被告】「ここ拘置所の近くでしょう?さっきまでここにおったんや」 「一番良かった、うれしかったことは…逮捕されてから川崎先生の事務所にたどり着いたこと」 Q.どんな判決を期待しますか? 【今西貴大被告】「期待する判決は、主文で『被告人は無実』だけど、『無実』っていう判決がないから、なんか嫌やなって思ってる。無罪じゃなくて無実やから。無実が(判決に)ないのおかしいでしょ?」 「(愛犬に向かって)お前は全部見てたのにな。喋れる?」 【川﨑拓也弁護士】「彼からしたら、目撃者がいてもらったら良かったんですよ。だからそこをね、一般の人にどう伝えるかですよね」 「確信があるかと言われると、無実の確信はありますけどね。無罪の確信があるかというと、それは分からない。そんなん言ったら今西くんに怒られるかもしれない。『確信してくださいよ』と言われるかもしれないけど」 2審判決は、11月28日に言い渡されます。 (関西テレビ「newsランナー」2024年11月26日放送)