実はハイグレードを選んだら「オーバースペック」になることも!? トレッキングシューズ選びはスキルに合わせたスペック選びが大切
何か買い物をするとき、多くの人が「できるだけいいものを買いたい」と考えることでしょう。自分の好きなジャンルの製品なら、細部まで吟味して自分にふさわしいものを選ぶと思いますが、あまり詳しくないジャンルの場合、単純に高価なものや高機能をうたうものを選んでしまうかもしれません。 【写真】スペックが大切なトレッキングシューズ選びをチェックする(全5枚) でも、どんなジャンルの製品でも目的に合ったものを選ばないと、思っていたものと違っていたなんてことが起こります。これは、トレッキングシューズを選ぶ場合も同じで、いいものを買ったのに、自分にとってはあまり意味のない機能だったということもあるので注意が必要です。 「トレッキングシューズは、目的によって使い分けることが大切なのです」と言うのは、登山やキャンプなどアウトドア活動に詳しい打越俊浩さん。どのように使い分ければいいのか見ていきましょう。
トレッキングシューズには3つのタイプがある
多くの人が「トレッキングシューズ」と聞いて思い浮かべるのは、足首部分がしっかりと覆われた形状のものではないでしょうか。でも、トレッキングシューズには足首部分の覆い方の違いで、「ハイカット」「ミドルカット」「ローカット」という3つのタイプがあります。 まずハイカットは、前述したように、かかとからくるぶしの部分がしっかり覆われたタイプです。足首をしっかりとガードしてくれるので、安定性に優れるという特徴があります。「ソール部分が厚くて非常に硬いので、例えば岩場などデコボコのある場所を上り下りするときなど、岩につま先部分しか接地していなくても踏ん張りが利きやすく、安全性も高いです」(打越さん) ただ、日帰りでちょっとした低山登山やハイキングに出かけるのがメインの人にとっては、ハイカットタイプはオーバースペックになる場合があります。ハイカットタイプは、岩場が連続するような3000m級の山を2泊以上で歩くような場合を想定して作られているのです。
ユーティリティに使える「ミドルカット」
では、気軽に登山が楽しめて、安心感もあるトレッキングシューズを選ぶ場合はどうしたらいいでしょうか。「これらのなかでハイキングや低山に向くのが、ミドルカットとローカットです」(打越さん) ミドルカットは、ハイカットに比べて足首部分に余裕があるので、歩行しやすくなっています。「ソールは硬めなので岩場でも歩きやすく、一方でフラットな道にも向いています。低山ハイクから3000mクラスの1泊山行まで、ユーティリティ性の高いタイプです」と打越さん。 そして、ローカットは足首部分が露出していて、見た目は通常のスニーカーに似ています。足首部分の保護性はほかの2タイプと比較すると低くなりますが、歩きやすさがメリットで、気軽なハイキングにぴったりです。 このように、トレッキングシューズには形状に種類があって、目的に応じて選択するのがセオリーです。気軽なハイキングに行こうとしているのに、本格派向けのハイカットタイプを選ぶ必要はないわけですね。いいものを選ぶことは悪いことではありませんが、自分にとって不要なスペックや仕様のものは選ばないようにしましょう。
吉田正之