「食事が私を苦しめたからこそ…」手術を繰り返し、3つの持病と生きてきた女性が開発した「超低糖質スイーツ」 子どもたちに笑顔と愛を届ける
1型糖尿病の子にケーキと愛を伝える「クリスマスケーキプロジェクト」
超低糖質スイーツの開発・販売以外に、福田さんにはもうひとつ力を入れている活動がある。それは、普段甘いものを自由に食べることができない1型糖尿病の子どもに低糖質のケーキを届ける「クリスマスケーキプロジェクト」だ。 このプロジェクトは、1型糖尿病の子を持つ親御さんの「街中が浮かれて楽しくなるクリスマスの幸せを共有したい」という声から生まれた。活動は、1型糖尿病に関する知識の啓発を行う認定NPO法人 日本IDDMネットワークと連携して行っている。 当初は、いずれ自社の資金で継続していこうと考え、クラウドファンディングに挑戦。だが、寄せられた応援メッセージを全て読む子どもたちの姿を見て、考えが変わった。 「誰かひとりでも、ちゃんと見ている、応援していると伝える大人がいれば、子どもは頑張れる。このプロジェクトはクラウドファンディングで行うからこそ、『どこの誰か知らないけれど、自分たちを思ってケーキを送ってくれる人がいるなら、世の中はそんなに捨てたもんじゃない』というメッセージが伝わると思うんです」 超低糖質のクリスマスケーキを受け取った子どもたちの反応は、愛くるしい。「お皿まで舐めていた」「なかなか食べられず、枕元で一晩寝かしていた」など、親御さんを通じて知る子どもたちの嬉しい反応に福田さんの顔はほころぶ。 「続けてほしい」という声があるから、この事業は絶対に潰せない。そう話す福田さんはプライベートで子ども食堂と関わり、おやつの商品開発を担当してもいる。 印象に残ったのは、ネグレクトなどの深刻な社会課題を背負う子どもたちがみんなでお菓子を食べた時、口数が増え、笑顔になったこと。“誰かと一緒に食べることの価値”を、改めて痛感した。 「食を共にするって、お互いの幸福度や経験、時間など、おいしさ以外のものもシェアする。大袈裟かもしれないけれど、ひとつの食卓は人生を反映していると思うんです」 事業を始めた当初は病気の有無に関わらず、一緒に何かを分け合える食卓を作ることが目標だった福田さん。今は目指す方向が少し変わり、低糖質スイーツ業界を裏で支える“縁の下の力持ち”になりたいと考えている。 「嫌なことがあった時や躓くことがあった時など、何かのタイミングで私たちの作ったお菓子や誰かと一緒に低糖質スイーツを食べた記憶を思い出してくれたら最高です」 福田さんが生み出す超低糖質スイーツは、誰かが自分を想ってくれていることを思い出せる“心のお守り”にもなってくれる。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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