ナイキ とアディダスの売上減と人員削減が意味する、スニーカー市場の変化。注目は「スニーカーラボ」の存在
ナイキ(Nike)とアディダス(Adidas)の2023年度第3四半期の売上高は、前年同期比でそれぞれ5%と6.4%減少しており、スニーカー市場では十分なサービスが提供されていないホワイトスペースが拡大している。 2月中旬にはナイキが全社で1600人の従業員を解雇することが報じられ、昨年にはベトナムにあるアディダスのメーカーが6000人以上の人員削減を行った。
細分化が進むスニーカー市場にあるホワイトスペース
調査会社アライドマーケットリサーチ(Allied Market Research)が2023年7月に発表したスニーカー市場に関するレポートによると、世界のスニーカー市場は2021年に1311億ドル(約19.7兆円)を生み出し、2031年までには年間2156億ドル(約32兆円)になると予想されている。 この市場を2010年から2020年にかけて推進させたのは再販市場であり、2019年には再販市場だけで60億ドル(約9025億円)の価値があった。しかし、ストックX(StockX)で発売された100点以上の人気スニーカーを分析したところ、再販市場の収益性の変化が浮き彫りになった。アクシオス(Axios)の報告によると、これらのスニーカーの2022年の平均価格収益率はマイナス7%で、2021年に見られた平均価格の上昇率23%とは対照的だった。 フィラデルフィアで開催された年次スニーカーカンファレンスであるスニーカーコン(Sneaker Con)で、2月18日、大統領候補のドナルド・トランプ氏が399ドル(約6万円)のゴールドスニーカーを発表した際、スニーカー市場の1分野である「スニーカーラボ」が注目を浴びた。 これを制作したのは、スニーカーラボの45フットウェア(45Footwear LLC)で、同ラボはCICベンチャーズ社(CIC Ventures LLC)からトランプ氏の名前と画像のライセンスを取得した。45フットウェアをはじめとする、スニーカーのアイデア・生産・流通を再定義する「スニーカーラボ」と「インキュベーター」の分野は成長中だ。これは、大手ブランドが需要を創出するために有名セレブらと提携し、スニーカー市場が細分化しつつあるなかでの現象である。