21世紀最大の謎? 「一体、何が面白いのか」PPAP大流行の秘密をひも解く
古いコンテンツ産業の価値観からの脱却
この枠組みを基本に考えた時に、そもそもピコ太郎の作品としてのPPAPがビルボードにランクインし、ピコ太郎に注目するということが、古いコンテンツ産業の価値観で捉えられたものであり、実際に起きている流行現象と乖離しているという点を指摘することができます。また、ジャスティン・ビーバーがツイッター上でシェアしたことは、確かに世界規模での話題性喚起に一定の影響を及ぼしたとは思いますが、現象全体で考えた際には一つの宣伝材料になった程度であり、「PPAP」現象の構造自体への影響度はさほど高いとは言えないでしょう。 もちろん、いかに視点がずれているとはいえ、ビルボードにランクインすることやYouTubeの再生回数で1位になることは決して容易ではありませんし、ピコ太郎とその元ネタ動画を完全に否定することもできません。しかし、丁寧に「PPAP」という現象を捉えるならば、このような視点で認識する必要もあるのではないでしょうか。 稼農 慧(かのう・けい)