【資産総額8,000万円】40代長女は蚊帳の外…「お義母さんと同居する」「それいいね!」夫・妹が主導する「嫌いな母との同居話」に戦慄
相続税の節税のために、大切な人生をストレスにさらすのは…
相続時の節税に有効な特例である「小規模宅地等の特例」は、住宅(特定居住用宅地)の場合、330平方メートルを上限として、相続税の課税額が80%減免されます。ですが、相続人は「同居していた実績がある」「自分の家を持たない」等の一定の条件を満たす必要があります(国税庁: 「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例〈小規模宅地等の特例〉」 参照)。 奥さんの母親は確かに高齢ですが、いつ相続になるかはわかりません。すでに生活スタイルができている大人同士が同居すれば、ストレスの発生は必至です。 相続税の節税のために同居しても、相続税の減額と、何年続くかわからないストレスを引き換えにするのは、どう考えてもメリットが大きいとは言えないでしょう。
節税の選択肢は「同居」だけではない
いままでの生活のリズムを大切にしながら、快適な毎日を過ごすには、同居による節税ではなく、金融資産で不動産対策をおこない、貸付用の特例を適用する方法があります。また、母親にはケアつきの高齢者住宅に住み替えてもらい、自宅を賃貸住宅に建て替える方法もあります。 同席した税理士から説明を受けた井上さんご夫婦は、複数の選択肢があることを知り、安堵されたようでした。 「いくら節税したところで、大切な人生にストレスを抱えては意味がありませんので…」 筆者がそういうと、奥さんは深くうなずきました。 「母をぬか喜びさせて申し訳ないですが、お互いの幸せのためにも、施設に行くよう、妹と一緒に説得します」 相続対策も大切ですが、そのためにがまんを重ねて無理をするようなことになっては本末転倒です。また、対策するにしても、親族間で打ち合わせ、方向性をそろえなければ、いい結果へ着地させることはできないのです。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子