JR九州が日韓航路から撤退を正式発表…「クイーンビートル」浸水隠し、JR九州高速船は解散へ
JR九州高速船(福岡市)が博多港と韓国・釜山港を結ぶ旅客船「クイーンビートル」の浸水を隠して3か月以上運航を続けていた問題で、同社親会社のJR九州は23日、運休中の同旅客船の再開を断念し、1991年に開設した日韓航路から撤退すると正式に発表した。JR九州高速船については今後、解散する。 【表】JR九州グループの高速船事業を巡る経緯
JR九州が23日に開いた取締役会で決定した。同社の古宮洋二社長は福岡市で記者会見し、撤退の理由として、浸水が相次いだ船体の補強が難しく、事業継続が厳しいことなどを挙げた。古宮氏は「確実な安全を担保できない」と述べた。
JR九州高速船の解散時期については、海上保安庁が船舶安全法違反などの容疑で捜査を続けていることも踏まえ、「全ての対応が完了した後」とした。同社の従業員70人はJR九州グループ内で雇用する計画で、転職を希望する場合は支援を検討する。
旅客船は、譲渡や廃船を含めて取り扱いを今後調整する。日韓航路から撤退しても、グループ経営に対する「大きな影響はない」としている。
2022年11月に日韓航路に就航したクイーンビートルを巡っては、23年2月に浸水が判明した際、JR九州高速船が国土交通省に報告しないまま数日間運航し、同社は行政処分を受けた。
今年2~5月に再び浸水した際には航海日誌に「異常なし」と虚偽記載するなど、隠蔽工作を図っていたことが同省の監査で発覚。クイーンビートルは8月から運休し、同省は9月、高速船の安全統括管理者と運航管理者の解任命令を全国で初めて出した。
一連の問題を踏まえ、JR九州は11月、隠蔽を決めた高速船の当時の社長ら3人を懲戒解雇したと発表していた。