横浜の名店が東京へ進出! 江戸前の“粋”な寿司に感嘆!
「常盤鮨」は1952年創業、2022年の「食べログ 寿司 EAST 百名店」にも選出された寿司の名店で、地元客はもちろんのこと、都内から通い続けているファンも多く、今回の移転には惜しむ声と歓喜の声がSNSで錯綜し、ちょっとした騒ぎにもなったほど。
扉を開けてアプローチを進むと、6mほどの真新しい国産檜の一枚板カウンターが目に飛び込んできます。
天井が高く凜とした空気感の漂う店内には8席のカウンターと個室があります。
親方の林ノ内勇樹さんは専門学校卒業後、日本料理を志して割烹料理店で修業を始めます。5年が経ったところ「カウンターで人と話す仕事をしたい」と「鮨 水谷」の門を叩きました。3年もたないと言われる厳しい修業でしたが水谷八郎氏の下で7年勤め、二番手を任されるまでになりました。それから「鮨 ます田」で立ち上げを手伝ったのち、いつか東京に戻ると決めて父親の経営する「常盤鮨」に入ります。
3.5以下だった食べログの点数はみるみる上がり、地元客だけでなく遠方からの予約も増え、食べログの神奈川県の寿司ランキングでは常にトップ3に存在する人気店となりましたが、林ノ内さんの心には代々受け継がれてきた味ではなく「鮨 水谷」の弟子として寿司を表現したいという欲望が湧いてきます。「常盤鮨」に入ってから9年、「3代目としてやるべきことはやった」と自他ともに認めた2024年2月に暖簾をおろし、3月9日、自身の名を冠した「鮨 ゆうき」を広尾に構えたのです。
「握り」へ繋ぐ珠玉のつまみ
つまみは寿司屋らしくシンプルに食材を楽しめるよう少量で6~7品提供されます。「あん肝」はねっとりした食感ながらくどさはなく、さっぱりとした味わい。これは日本酒が進みます。
兵庫県室津の牡蠣を、薄口醤油と味醂だけで味をつけた「煮牡蠣」はスペシャリテと言っても過言ではありません。ぷっくりとした牡蠣を噛み締めるとほんのりと甘い煮汁と牡蠣のうまみが融合し、後を追うように海苔の風味が重なります。こんなにも心震える牡蠣があったのかと思う感動的な一皿です。