スポーツ界襲う新型コロナもう一つの恐怖…日本ミドル級戦が再延期…挑戦者が「ベストな状態でできない」と延期を申し入れ、知人感染重症化に衝撃受けた王者も心情理解
4度目の防衛戦が再延期となった王者の竹迫も”大人の対応”で受け止めた。 「状況が状況だけに、練習ができず、ベストな調整ができないまま無理に試合をしたくないという国本選手の気持ちも理解できます。僕も、お互いに万全でベストな状況で戦いたいと考えています。新型コロナの怖さは、ほんとにわかっているので、挑戦者の辞退を腹立たしいとは思いません」 4戦無敗の挑戦者の延期申し入れに理解を示したのには理由がある。 実は、竹迫の知人が1か月ほど前に新型コロナに感染、集中治療室(ICU)に入る重症となり闘病していたのだ。 「入院してから症状がひどくなってICUに入り人工呼吸器をつけなければならない寸前だったそうです。そうなれば命にかかわる状況になっていたのかもしれません。その後、回復し、2度の陰性反応が出て、1週間前に退院しましたが、知人が大変なことになって決して他人事ではなく、ほんとに怖くなりました。試合が決まっていたので5月6日から会長に頼んでジムを開けてもらいましたが、それまでの1か月間は、ずっと家にこもっていました。妻以外とは誰とも接触をしない生活を続けました。こういう状況だっただけに、もしかしたら試合は無理かも、ということも半分頭に入れておくという複雑な気持ちでした。国本選手の心情もよくわかります」 東京都足立区に住む竹迫は、4月に入ってステイホームを厳守した。朝晩のロードワーク、公園でのシャドーボクシング以外は、一切、外出せず、専属のフィジカルトレーナーに自宅の簡単な器具でできる特別メニューを作成してもらい、毎日、1時間半、それを消化しながらレベルアップに務めたという。この間、「ピーキングのためのテーパリングー狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するためにー」(河森直紀著/ナップ)という技術書を熟読。トレーニングの意図と効果を考え直した。自宅筋トレの成果か、体重は2、3キロ増えたが、コンディションは維持してきた。 それでも竹迫もスパーリングなどの対人練習のメドはまったく立っていなかった。 「WBAのミドル級で15位に入ってモチベーションは落ちていません。世界ランク上位を目指すという目標もあります。今年は難しいかもしれませんが、世界との差を縮めるためには、どうすればいいのか、自分に何が足りないかを考える、いい機会だと考えています」