パリ・パラリンピックのカヌー競技に貢献 共生社会の実現を後押し ふくのわ(6)
「水の上は究極のバリアフリーなんです」と日本パラカヌー連盟の上岡央子(うえおか・ひさこ)事務局長は目を輝かせる。パラカヌーは、主に下半身や体幹に障害のある人の競技として知られるが、脳性まひや知的障害の人も楽しむことができる。水上には段差や坂道がなく、健常者に介助される障害者という傾斜の生まれがちな両者の関係性が、カヌーに乗れば同じ目線になる。 同連盟には「共生社会を実現する」という目標がある。10年ほど前、上岡さんが当時介助をしていた車椅子の女の子とカヌーに乗ったときだ。2人とも初めての経験。「自然と一緒に笑っていて、必要なのは『これだ! この感覚だ』と心の底から思った」という。 古着のリユースでパラスポーツを支援する「ふくのわプロジェクト」(産経新聞社主催)は同連盟にも寄付を行っている。パラカヌーを広く知ってもらうための体験会や選手の育成に使われる。今年行われたパリ・パラリンピックにも役立てられた。 選手が使う競技艇は長さ5メートル以上とあって、日本からの運搬は難しく、現地でレンタルすることになる。「自主財源で賄わなければならないものは多い。本当に助かった」 選手の合宿所にも家庭用の寄付宅配キット「おうちでふくのわ」が設置された。「古着に新たな価値を見いだす、すばらしい取り組みだと思います」