阪神、掛布雅之氏に2軍監督要請へ
金本知憲(47)を新監督に迎えた阪神が、現在、本部長付打撃&育成コーディネイターの掛布雅之氏(60)に来季の2軍監督就任を要請することが20日、明らかになった。「再建」をキーワードとする阪神は、若手の育成をテーマにしており2軍監督を誰にするかが大きな焦点だった。 球団サイドは、金本新監督と意見を交換しながら組閣を進めていたが、金本新監督からの強い要望もあって、掛布氏に2軍監督を要請することを決めた。 掛布氏は、2013年オフに故・中村勝広GMの発案で、若手の左打者の育成を目的にGM付き打撃&育成コーディネイターに就任していた。だが、ユニホームを着ずに指導するフロントの立場だった。タテジマのユニホームに袖を通しての復帰となると実に28年ぶりとなる。 掛布氏は、DCを務めたこの2年間、キャンプでは自室に選手を呼び、マンツーマンでスポンジボールを打たせるなど、情熱あふれる指導と、レベルに体を使うという独特の打撃理論で、伸び悩んでいた伊藤隼太ら若手を指導してきた。また若手だけでなく、狩野恵輔らベテランのフォローや、シーズン中に1軍から落ちてきた選手の打撃修正、自信を取り戻させるための丁寧なコミュニケーションの時間を作り、西岡剛のような故障リハビリをしている主力に対しても、技術面でのアドバイスを送り、ジョークを交えた話術で、モチベーションを維持させるための努力を惜しまなかった。 2軍のコーチではなかったが、早朝から2軍の練習場所に通い、ミーティングにも参加、チームの明るい雰囲気作りを助け、時には、コーチ陣の相談役にもなっていた。試合中はベンチに入れなかったが、細かくバッティングをチェック、叱ることはせず、ポジティブなアドバイスを続け、選手からの信頼も集めた。 “ミスタータイガース”の指導者としての、そういうひたむきな姿勢を球団も高く評価。「今の中途半端な立場では、掛布氏に失礼ではないか」との議論が度々、球団内部でされていた。また金本新監督自身も、同じ左打者として、その打撃理論と、厳しい練習から叩きあげて作ってきた現役時代の掛布氏のプロとしてのスタイルに共感していた。 現在、掛布氏は、宮崎で行われているフェニックスリーグに参加。連日、宿舎の自室で2年目の左の大型スラッガー、横田慎太郎外野手(22)を呼んで素振りを見ている。金本新監督は、就任会見で期待の若手として、その横田、江越大賀外野手(24)、陽川尚将内野手(24)の3人の名前を挙げたが、その3人は、くしくも掛布氏が重点指導している3人だった。早ければ、今日21日にも、掛布氏へ直接要請が行われる模様。掛布氏も、阪神再建には若手の育成が不可欠と考えており、一人の阪神OBとして阪神が強くなるためには協力を惜しまぬ姿勢を貫いてきているため、2軍監督の要請を受諾する方向だと考えられている。