鹿島の一部サポがコロナ禍ルール違反“暴走”で波紋?!
おりしも5日に開催されたJリーグの臨時実行委員会で、応援歌の大合唱やブーイングを含めて、ガイドラインで禁止されている意図的かつ継続的な「声出し応援」を、一部サポーターが繰り返していた浦和の試合運営責任が問われたばかりだった。 確認されたリーグとしての対応は、規約に則って最大2000万円の罰金を科すペナルティーを裁定委員会に諮問。さらに今後も繰り返された場合にはより重いペナルティーとして、無観客試合の実施や勝ち点の剥奪もありうるとまで踏み込んだ。 実質的な警告が浦和限定の措置なのか、それともJ3までを含めた全58クラブが対象となるのか。Jリーグの野々村芳和チェアマン(50)は「前者でも後者でもなく、両方ということ」とした上で、臨時実行委員会後の会見でこう言及している。 「コロナ禍で設けられたガイドラインに反する行為があったときには、当然ながらペナルティーの対象になるということ。声を出してスタジアムの情熱を取り戻したいという思いを多くの人たちが我慢して、いろいろな検証が行われているなかで、もう少しというところまで来ている状況も含めて今回のリーグとしての判断になった」 臨時実行委員会の直前には、パナソニックスタジアム吹田で2日に行われたガンバ大阪戦で一部サポーターが応援歌を大合唱し、ブーイングも繰り返した違反行為を浦和が公式ホームページ上で初めて謝罪。同時に再発防止策も発表していた。 Jリーグ側は浦和の発表を受けて、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを順守し、政府や自治体、地元住民の理解を得ながらコロナ禍前の観戦環境を段階的に取り戻していく上で、全58クラブの足並みがようやくそろったと判断。ガイドライン違反や、違反が繰り返された場合のペナルティーを議論した経緯がある。 浦和の立花洋一社長はJリーグの通達を受けて、ともにホームの埼玉スタジアムで行われた6日の京都サンガF.C.戦、そして10日のFC東京戦へ「われわれの管理能力が問われている」と不退転の覚悟を表明。警備上の理由で人数そのものは非公表としたものの、違反行為を監視するスタッフを通常の2.5倍に増やした。 さらに試合前には公式ホームページやSNS上で、試合中にはオーロラビジョン上で注意喚起を含めた啓発情報を何度も発信した。管理が徹底されたなかで2試合とも大きな問題はないまま、手拍子と拍手を中心とした応援が繰り広げられた。 野々村チェアマンが求めるクラブとしての自浄能力を、ようやく浦和が示し始めた。入れ替わるように今度は鹿島の一部サポーターが起こした、マスクなしで大声を上げ続ける行為を、ガイドライン順守に賛同していた鹿島がどのように受け止めるのか。13日にはホームの県立カシマサッカースタジアムで、ガンバ大阪との天皇杯4回戦が行われるなかで、札幌戦から一夜明けた11日の段階で公式声明は発表されていない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)