「義務なのに…」チャイルドシート、5歳になると着用率が激減のわけは? 専門家が指摘する理由と危険性
道路交通法で6歳未満へのチャイルドシート着用が義務づけられているにもかかわらず、5歳になると着用率が激減することが、長野県警のまとめで分かった。0~1歳は87%だが、5歳は61%に低下。窮屈になったチャイルドシートを買い替えずに、大人用のシートベルトなどで済ませている保護者が多いと専門家はみており、「子どもの命を守るために必ず着用を」と訴えている。 【グラフ】5歳で激減するチャイルドシート着用率
5歳で半減
長野県警交通安全対策室のまとめによると、2014~2023年に自動車事故でけがをした0~5歳の649人のうち、0~1歳は87%がチャイルドシートを着用していたが、5歳の着用率は61%。代わりに大人用のシートベルトを着用が24%、なにも着用せずに座っていた子は16%だった。 5歳の着用率の低さは全国共通の傾向だ。警察庁と日本自動車連盟(JAF)の調査によると、2023年の着用率は0歳が92%だった一方、5歳は56%とほぼ半減。この一因として、警察庁や民間企業などでつくる「シートベルト・チャイルドシート着用推進協議会」(東京)は、新生児から使っていたチャイルドシートが窮屈になることを挙げる。
あと1年なのに…?
座面が回転して子どもを乗降させやすく需要も高い「回転式」は、新生児から4歳まで使えるものが主流。5歳頃になると体格に合わなくなってくるため、法定義務の年齢を知らずに「チャイルドシートは卒業でよい」と判断したり、知っていても「あと1年なのにもったいない」と買い替えずに大人用シートベルトなどで済ませたりする保護者が多い、と同協議会はみている。
小学生2人を育てる横浜市の会社員女性(39)は普段、学童用の「ジュニアシート」を使っているが、長野県内の実家の車に乗るときは「5歳頃からシートベルトを使っている」。以前は実家で用意してくれたチャイルドシートを使っていたが、成長して窮屈になったためだという。「新しく買い換えてもらうのも悪いし、体の大きさももうシートベルトで大丈夫だと思った」。6歳未満は着用義務があることは知らなかったという。