「日本一のモンブラン食べにきて」 熊本で16、17日に全国大会
西日本一の和栗の産地を誇る熊本県山鹿市で16、17両日、「全国モンブラン大会2024」が開かれる。全国の栗の生産地で厳選された洋菓子「モンブラン」を持ち寄り、日本一を決めるイベント。山鹿市では11月末まで「くまもと山鹿和栗スイーツフェア」も開かれており、両日で最大4万人の来場者を見込む。全国的な「栗ブーム」を追い風に、栗で地域振興を目指す山鹿市は大会開催を弾みに更に活気づきそうだ。 【写真まとめ】出品されるモンブラン 大会は、農家の高齢化などで全国的に栗の生産量が減少していく中、「産地間競争」ではなく「産地間連携」の視点から、生産地同士が力を合わせて栗業界を盛り上げていこうと、日本一の栗の産地、茨城県笠間市が考案した。 昨年9月に開かれた第1回大会は、開催地の笠間市▽長野県小布施町▽岐阜県恵那市▽京都府京丹波町▽高知県四万十町▽山鹿市――の6産地が参加。各産地を代表する店舗のモンブランが出品され、試食審査の結果、山鹿市の洋菓子店「パティスリーのなか」の「バラのモンブラン」が優勝に輝いた。第2回となる今年は前回の6産地に加え、静岡県掛川市も参戦。山鹿市の連覇も注目される。 審査は16日午前11時から、産地や商品名を伏せたうえで5人の審査員が試食。50点満点で採点し、同日正午過ぎには日本一が決まる。出品された7品のモンブランは同日午前11時から会場内でも販売される。1品につき30~300個の限定で、売り切れ次第終了。市の担当者は「日本一のモンブランを食べにきてほしい」と話している。 日本一の「奪還」を目指す笠間市の担当者は「数年前から感じているモンブランブーム、栗ブームは下火になるどころか更に人気が出ていると感じる。今回出品する菓子店も相当気合が入っているので、栗の産地同士、大会を盛り上げていければ」。山鹿市の代表として出場する洋菓子店「An(杏)」の植田隆司代表(52)も「プレッシャーもあるが、西日本一の栗の産地を知ってもらう良い機会なので頑張りたい」と意気込んでいる。【野呂賢治】 ◇山鹿の栗と町おこし 山鹿市は1960年ごろから集団栗園が形成され、栗栽培が盛んになった。栄養分を蓄えた粘土質の土壌、農家の努力などで良質な栗が生産されている。JA鹿本などによると、山鹿市の例年の生産量は700トンほど。今年は高温など異常気象の影響で収量は例年の6割弱ほどの不作だったが、夏の雨が少なかったことから甘みは強い。また、官民で栗をPRしようと、今年5月には「やまが和栗振興協議会」も発足した。開催中の「くまもと山鹿和栗スイーツフェア」は、栗を用いた和洋を問わないスイーツを市内全域で食べ歩くイベントで、10回目を数える。今年は過去最多の38店舗が参加し、昨年の約30万人の人出を超える好評を得ているという。