「朗希には“応援される人間に”と指導した」 恩師が語った、佐々木朗希のメジャー挑戦への思い 「本人が決めたことなので、頑張ってほしい」
「あしき前例とならないか心配」
野球解説者の高木豊氏も、こう警鐘を鳴らすのだ。 「ある一定期間は日本で結果を出してから渡米するのが一番で、球界としても毅然たるルール作りをしなければ、日本野球の魅力が失われてしまいます。球団が選手の言い分を全部のむことがあしき前例とならないか心配ですし、見送る側からすれば、佐々木に対して“何か忘れ物をしていませんか”と、釈然としないものが残る。わがままを言ってさんざん振り回してきた恋人が突然いなくなったようなもので、残されたロッテファンにとってはチーム優勝への星勘定が一つ消えたわけです。佐々木も行くからには、しっかりとファンへのメッセージを残してほしいなと思います」 今回の件で佐々木は球団を通して声明を発表。ファンの支えに感謝は示したものの、大半はメジャー挑戦への意気込みで占められた。 「朗希は自分のことを説明するのが得意ではなかったですし、プロになっても外へ積極的に発信するタイプではなかったと思います」 とは、佐々木が中学生時代に所属した地元・岩手の地区選抜チーム「オール気仙」の指導者だった布田貢氏だ。
“応援される人間を目指そう”
「われわれチームの目標は“応援される人間を目指そう”というものでした。私が参加した講演会で、ロッテの寮長さんが“プロはさまざまな人と付き合い好かれることも大切。実力だけの世界ではない”という話をされていたことがありました。その話をプロ入り前の朗希に伝えたら“はい、分かりました”と言ってくれた。朗希のメジャーに対する真摯な思いが、もっと応援してくれる人たちに届いていれば、ここまで賛否両論はなかったのかもしれません。メジャー挑戦が必ずしも応援されるものでなかったのは残念ですが、どういった事情でも本人が決めたことなので、頑張ってほしい」 今一度、佐々木は恩師の言葉をかみしめる時なのかもしれない。 「週刊新潮」2024年11月21日号 掲載
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