BYDがじわり進出もまだ日本のエンジン車が有利! EVシフトが進む「日本車天国」タイの動向
タイは日本の7倍EVシフトが進んでいる
2024年5月最新の、新興国タイ市場のEV普及動向が判明。すでに新車販売の10台に1台がバッテリーEVという、新興国のEVシフトのスピード感を解説します。 【画像】ドルフィンよりもさらに安価なBYDのEV「シーガル」の画像を見る 今回取り上げたいのが、東南アジア地域のEV普及動向です。長年、日本メーカーが圧倒的なシェアを築いてきていた、いわゆる日本の庭です。なかでもタイ市場は、日本メーカーの車両生産工場が集結していることから、東南アジアオセアニア地域における自動車生産のハブとなります。 ところが現在、中国の自動車メーカーたちがこぞって参入を表明し、EVを一気に投入することによって、EVといえば中国製というイメージが定着しつつある状況です。いずれにしても、EVシフトの流れが今後も加速していった場合、日本の庭が中国の庭へと変貌を遂げてしまうのではないかという懸念から、その動向が非常に注目されているわけです。 それでは、東南アジアのタイ市場の2024年5月におけるEV普及動向、人気のEVランキングについて見ていきましょう。 まず初めに、5月のバッテリーEVの登録台数は5474台と、前年同月と比較してもほとんど販売台数を伸ばすことができていない、EVシフト停滞の兆候が確認されてしまっている状況です。じつはタイ市場は、2024年シーズンからEVに対する税制優遇措置が変更されたことを受けて、その変更までに車両の購入を完了させようと購入ラッシュが発生。よって2023年12月と2024年1月の登録台数が急上昇していたものの、その反動もあってか、2月以降は落ち着いてしまっているのです。 次にこのグラフは、新車登録台数全体に占めるバッテリーEVのシェア率の変遷を示したものです。12月は20%の大台を突破。つまり、タイで登録された乗用車の5台に1台以上がバッテリーEVという、EV先進国並みの普及率にまで達していたものの、5月単体では9.84%と、シェア率を落としています。 それでも新興国であるタイで、10台に1台がバッテリーEVであるとイメージしてみると、EV購入ラッシュのあととしては、順調にEVシフトが進んでいるともいえそうです。 また、このタイ国内のバッテリーEVシェア率が、世界と比較してどれほどなのかを比較しましょう。タイ市場は10%弱というシェア率に留まっているものの、黄色で示された世界平均を少し下まわる程度で推移。いずれにしても、新興国であり、いまだに充電インフラの整備の過渡期である現状を踏まえれば、順調にEVシフトが進み始めている様子が見て取れます。ちなみに日本市場は1.44%だったことから、タイは日本よりも7倍EVシフトが進んでいる状況です。 それでは、このタイ国内でどのようなEVが人気であるのかを確認しましょう。まず初めに、BYDのコンパクトSUVであるATTO 3がトップにランクインしています。じつはATTO 3については、ドルフィンの登場によって若干のカニバライズもあってか、2024年に突入して以降、登録台数を伸ばすことができていませんでした。ところが3月末にも、全グレードにおいて最大20万バーツ、日本円に換算して85万円級の大幅値下げを断行していたという背景が存在します。よって5月以降に登録台数に反映され始めているわけです。