大根仁が語る「地面師たち」と「演出家の仕事」 「50代以降は誰かのためになるような仕事をしたい」
「湯けむりスナイパー」や「まほろ駅前番外地」といった深夜ドラマから、映画「モテキ」や「バクマン。」などの脚本・監督、そして、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」やドラマ「エルピス ―希望、あるいは災い―」では演出を務めた大根仁の最新作、Netflixの配信ドラマ「地面師たち」が大ヒットしている。本作は2017年に起きた実際の地面師詐欺事件をもとにした小説「地面師たち」(著:新庄耕)を原作に、大根自らが映像化を企画、キャスティング案から脚本・監督までを手がけた意欲作。これまでのキャリアの総決算ともいえる本作の制作過程を中心に、ここに至るまでのディレクター人生についても話を聞いた。 【画像】大根仁が語る「地面師たち」と「演出家の仕事」 「50代以降は誰かのためになるような仕事をしたい」
Netflixが広く普及した今だからこそのヒット
――7月25日に配信されたNetflixシリーズ「地面師たち」が、日本におけるNetflix週間TOP10で長らく首位をキープするなど、反響の大きさについてはどう受け止めていますか。
大根仁(以下、大根):これまで自分が関わってきた作品とはまったく感触が違いますね。例えば、2022年に放送された「エルピス」とか、もっと前だと深夜ドラマから映画になった「モテキ」とか、業界内だったり一部の層の間ではある程度の話題になった感覚はありますけど、「地面師たち」はそういう規模じゃないんですよ。大げさじゃなく、飲み屋とかいろんな店で客が話題にしているのを耳にするし、飛行機に乗ったらタブレットで観ている人も見かけるし。
つい先日も、ヒットしたお祝いでリリー(・フランキー)さんに銀座の高級クラブに連れていってもらったら、入れ替わるお姉さんたち10人くらいが全員観てるって。店に来るお客さんたちも全員観てるって言ってました。そういう店ではお客さんとの話題づくりのためっていうのもあるとは思うけど、全員が観てるっていうのはすごいなと。今日なんかは五反田のサウナに入ってたら、若者とかではなく、人生の先輩たち……まぁ言っちゃえばそこらへんのじいさんたちが「あの『地面師たち』ってのはヤバいな」とか話してましたから。