【高校野球】指導者から見た新基準バット 小倉全由氏が語る現場で指導する上での留意事項
小倉監督は日大三高を率いた2001年夏の甲子園で全国制覇へ導いた。その秋から「900グラム以上、最大径67ミリ未満」が導入された。「現場として心配していたのは、900グラム以上でバットを振れるか……」だったという。しかし、杞憂に終わった。 「冬場は木製、竹バットで正しいスイングを作っていく練習法もありますが、芯を外すと、相当な手のしびれになる。日大三高では1キロから1100グラムの金属バットで振り込ませてきました。800~900グラムになっても、何の抵抗もありませんでした。ただ、今回は芯に当てないといけない。現場はバットで飛ばすのではなくて、技術で飛ばす正しいスイングを教えないといけない」 2011年夏、小倉氏は伝統の強打で2度目の全国制覇へと導いた。新基準バットに対応する「正しいスイング」とは。 「下半身から股関節、そして、上半身に肩甲骨に両腕をつないで、しっかり体をつかった中でスイングを身につける。粘って、粘って下から力を抜いて、ヘッドスピードをつけられるか。芯でとらえれば、飛距的には変わらない。(新基準バットの導入で)良い野球の形になるのではないかと期待しています」 小倉監督は今夏の甲子園大会後、高校日本代表を指揮し、U18アジア選手権に出場する(25年はU18W杯)。毎年、出場選手たちは直前合宿で、短期間での金属から木製バットへの移行に苦慮するが「日ごろから木製に近いスイングを意識していれば、スムーズにいくのでは」と見通しを語るも「そんな簡単に勝てるということではない」と付け加えた。より木製に近い、新基準の金属バット。高校卒業後にプレーを続ける選手にとっても、プラスしかないルール変更だ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール