差別に区切り 忍び寄る闇バイト 不安に揺れた一年【振り返る2024宮城】
仙台放送
2024年は長年の差別に区切りをつける裁判の判決や社会に大きな不安を与える事件がありました。 7月、最高裁判所が憲法違反と判断した旧優生保護法。各地で起こされた裁判は一気に終結へと動き、11月半ば、原告全員が国と和解しました。 原告 飯塚淳子さん(仮名) 「声を上げて27年。本当に長かったです。いつまでもズルズルしてはいけないので、きょう合意しました」 16歳の時、軽い知的障がいを理由に不妊手術を強制された飯塚淳子さん。27年前から被害を訴え続け、一連の裁判のきっかけを作りました。最高裁の判決後、2度の和解協議を経て、10月に和解が成立しました。 飯塚淳子さん(仮名) 「ただ裁判が終わって一段落という感じですよね。でも気持ちは変わらないです。苦しいことは。ずっと悩みは消えないので。人生が戻るんだったら違いますけどね」 今も、消えない痛みを抱える飯塚さん。望むことは差別のない社会です。 飯塚淳子さん(仮名) 「生きる権利はあると思うので、障がい者であろうがなかろうが、本当にみんなが幸せに暮らせるようにという思いを込めて、やっぱりこれからはかわいそうなことはしてはならない」 原告側弁護団長 新里宏二弁護士 「非常に象徴的な障がい者差別の法律だった。この被害をきちんとさせたという意味では、大変なエポックメーキングの事案。非常に重大な判決だったように思う。間違った法律ができることはあるわけですよね。その時にどうやって解決を早くできるのか。裁判になった時でも最高裁まで行かなくても解決できるような、そういう次の教訓にするような検証をしていただきたい」 記者「清水さん、仙台放送なんですけど、清水さんでいらっしゃいますか?」 清水「ううん、違います」 記者の問いかけをとぼけた表情で否定する人物。事情聴取のため警察署内に入り、詐欺の疑いでこの日、逮捕されました。仙台市泉区の清水直明被告(49)は去年4月から9月にかけて、利息を支払う意思がないにも関わらず、自分が社長を務めていた保険代理店の社債を販売し、4人から合わせて1100万円をだまし取ったとして起訴されています。社債名目の巨額詐欺事件。警察には、知人など80人以上から合わせて10億円以上の被害相談があり、警察が調べを進めています。 2月、青葉区折立で大塚修さん(当時72)が自宅の玄関で倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。自宅からは現金約1400万円が盗まれていました。約8カ月後、強盗致死などの疑いで逮捕、起訴されたのは佐藤加寿也被告(44)です。大塚さんの自宅に出入りしていたリフォーム業者でした。調べに対し、佐藤被告は仕事で大塚さんの家に出入りする中で金のありかを知っていたという趣旨の供述をしているということです。 こうした住宅への強盗は10年前と比較すると減少していますが、ここ数年、増加傾向にあります。(2014年232件、15年190件、16年175件、17年147件、18年153件、19年147件、20年151件、21年97件、22年116件、23年131件 警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」より) 特に今年は「闇バイト」による強盗事件が全国で相次ぎました。高額報酬、即日即金などをうたい、強盗や特殊詐欺など犯罪の実行者を募集する「闇バイト」。 大学生 「闇バイトはSNSとかでよく見かけるんですけど、トラックの運転補助みたいな、窃盗の共犯みたいな」 6月、警察は青葉区にあるビルの家宅捜索に踏み切り、特殊詐欺グループのメンバーを逮捕しました。その数、30人。グループの幹部は、無料の求人情報誌に「メールオペレーター」と称して広告を掲載し、メンバーを募集。メンバーたちは詐欺に加担していることに気づきながらも、高額な報酬などを理由に犯行を続けていました。さらに… ずらりと並べられたのは、携帯電話やSIMカード。今月、不正に契約された携帯電話のSIMカードを有償で譲り受けたとして、3人が逮捕された事件で押収されたものです。SIMカードを渡す対価として数万円を受け取った当時18歳の少年は闇バイトと知りながら犯罪に手を染めてしまいました。隠語や巧みな言葉で惑わせ、犯罪へと導く「闇バイト」。 県警本部 生活安全企画課 三浦秀一犯罪抑止指導官 「具体的な業務内容の記載がないのに高収入をうたうもの。最終的に匿名性の高いアプリ、具体的にはシグナル、テレグラムとかそういったものに誘導させるものがあれば、闇バイトと疑っていただきたいと思います」 一度足を踏み入れると個人情報を握られて脅され、抜け出せなくなるのも特徴の1つです。10月、警察庁は、闇バイトに応募した人などに対して犯罪に加担する前に警察に保護を求めるよう異例の呼びかけを行ないました。 県警本部 生活安全企画課 三浦秀一犯罪抑止指導官 「個人情報を教えてしまったとしても、闇バイトに加担すればそれは犯罪になりますので、勇気をもって抜け出して警察に保護を求めていただきたい」
仙台放送