黒澤武蔵が「愛を叫ぶ」のはなぜ? 『おっさんずラブ』瑠東監督に聞く「こだわり」
告白の場所は「心をさらけ出せるような場所」
キャスト・スタッフ一丸となって取り組んでいるという本作は、コメディーに振り切ったシーンから、登場人物たちが相手への想いを打ち明ける真剣なシーンまで、幅広い面で楽しめる。彼らの魅力を最大限に引き出す、監督のこだわりとは。 ――シリーズを通して、武蔵が春田への想いを「叫ぶ」シーンが多い気がします。これは何か意図があるのでしょうか。 瑠東監督:「愛を叫ぶ武蔵」をはじめ、登場人物たちは感情の爆発が多いかもしれないですね。人の心を動かす事って本当に難しいんです。笑いであっても感動であっても。僕はそこに圧倒的な熱量が必要だと思っていて。作り手にも演じ手にも。愚直に熱を持って生きる人を描く事を大切にしています。それが『おっさんずラブ』の高いギアに繋がっているのかもしれません。 ――そんな中でも、ここぞという場面のロケ地選びはどのようにされていますか。 瑠東監督:一般的には「本当にそこに登場人物が生きていたとしたら、多分こういう場所だろう」という選び方があると思いますが、『おっさんずラブ』ではそこも凌駕して吹っ飛ばしたい気持ちがありました。例えば、シーズン1で武蔵が春田に振られた、お台場の有明北緑道公園。 武蔵が春田に想いを告げるシーンは主にこの場所だったのですが、夜景やレインボーブリッジが抜けて凄く綺麗で。2人の関係性を考えた場合、突き抜けてドラマチックであればある程、熱が上がると思いこの場所を選びました。
――背景が綺麗すぎることで、より魅力的なシーンになっていますね。 瑠東監督:キャスト陣がその場所で感情に乗れるかどうかも選ぶポイントです。何かを伝える時、話をする時、環境はすごく大切で。それは日常生活でもそうだと思うんです。こんな場所だからこんな話になった、とか想いが高まった、とか。告白シーンでは、より心をさらけ出せるようなロケーションはどこかを考えています。 ――シリーズが続く中で、特に思い入れのあるロケーションはありますか。 瑠東監督:現在放送中のリターンズでは、シーズン1のロケ地を上手く重ねたいと考えていました。横浜国際プール前の階段は、シーズン1の1話で春田が牧にルームシェアを持ちかけた場所なんです。なので、リターンズの1話で春田と牧が再会する場所もここを選びました。俳優部本人たちも、見てくれてる視聴者も、気持ちが盛り上がって欲しいな、と願いを込めて。今後も展開に合わせて、シーズン1のロケーションは上手く重ねて行きたいなと考えています。 怒濤の展開が続くストーリーからも目が離せないが、前作と背景を見比べてみるのも面白いかもしれない。