新田真剣佑、誰かを目標にするよりも、「誰かの目標になりたい」
THE PAGE
いま、日本の映画界で急成長を遂げ、人気とともに実力が評価されている役者は、新田真剣佑をおいてほかにはいない。礼儀正しく、物静か。まっすぐな瞳は何を見据えているのか?
夢を与える仕事、ラリーのドライバーと役者は似ている
映画『オーバードライブ』は、公道を全開走行で駆け抜ける過酷な自動車競技「ラリー」に挑むメカニックの兄・檜山篤洋と天才ドライバーの弟・直純を中心に繰り広げられる熱い人間ドラマだ。真面目で確かな整備の腕を持つ篤洋に対し、リスクを顧みず、勝気なレースを展開する弟。新田はどちらのタイプなのだろうか? 「憧れるのはやっぱり、自分が演じた直純だと思います。ドライバーというのは、チームやメカニックの思いを背負って、過酷なレースに挑んでいます。危険な立ち位置ではあるんですけど、同時に多くの人に夢を与えてくれます。僕自身も役者として、いろいろな方に夢を与えたいと思ってこの仕事をしているので、似ているところがあると思います」
役に自分の外見を近づけるのは当たり前 その先にあるものを掴む
新田といえば若手俳優の中では、与えられた役にとことん自分を近づけていくストイックさが高く評価されている。『パシフィック・リム:アップライジング』では、巨大ロボットを操縦するパイロットを演じ、役づくりのために10キロ増量し、筋肉をつけた。撮影終了後には『ちはやふる -結び-』の撮影のためにすぐに体型を戻したという。 今回もトレーニングや食事制限をして、ドライバーにふさわしい体をつくり上げた。こうした肉体改造についても、「どこかで説得力を出さなくてはいけないと思ったので、役づくりのひとつとして形にしただけです」とあっさりと語る。外見を役に近づけるのは最初の一歩であり、新田は内面もかなり重視して演じているという。 「直純はパッと見、怖いもの知らずでオラオラな人物なんですけれど、表面的な感情や性格とは違ったもうひとつの顔をじつは持っている。そういうオンとオフではないですけど、心を開いたときの直純がいられるよう、深いところまで作り上げてから、現場に行きました」 過酷なレースのシーンのイメージは、資料を読み込んだり、実際のラリーのドライバーが運転する車に乗せてもらったりして、確実に自分のものにしていった。 「助手席でGに耐えながら、迫力ある運転を体感し、本当に命がけのスポーツだということがわかりました。命知らずなドライバーって、きっとこうなんだなと思いながら」