南北会談は朝鮮半島「非核化」につながるか
1992年に南北で朝鮮半島の非核化宣言
韓国の場合は、中国やロシアと少し違っている点があります。1992年に、韓国は北朝鮮と共同で、朝鮮半島を非核化するという宣言をしました。この時、北朝鮮はまだ核を保有していませんでしたが、将来に向かって核を持たないと宣言したのです。しかし、その後、米国との関係は悪化し、北朝鮮は核開発を本格化させました。このように状況が変化したこともあり、北朝鮮は非核化問題について韓国と話さなくなったと思われます。 しかし、米国は今回の南北会談に注目していました。一部では、南北間では非核化の話をしてもらいたくないという声が上がったこともありましたが、トランプ大統領は文在寅大統領から電話で説明を受け、上機嫌だったと報道されました。米国の姿勢はまだはっきりしない面がありますが、国連決議の実施の妨げとならなければ、南北間の関係が進むのはかまわないという考えだと思われます。 今後については、容易に楽観的になることはできませんが、3か月間、緊張状態が緩和されることは最近なかったことであり、非核化に向けてもなんらかの進展につながることが期待されます。個人的には、米韓合同演習はオリンピック・パラリンピックが終了後ただちに再開するのでなく、可能な限り延期し、また、北朝鮮は核・ミサイルの実験を控えるのがよいと思います。
--------------------------- ■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹