プロ野球、眼のいい打者は誰だ? 選球眼を考える
マートン(阪神) 昨年の成績:打率.338 14本塁打 46四球64三振 出塁率.394 初球の割合は50打席以上の選手で最も多い24%、これはプロ野球平均(12%)の2倍という際立った数値になっている。2球目までを含めると41%と勝負の早さが目立つが結果も良好。2球目(0-0、1-0、0-1)までを打った時の成績は打率.426でホームランは9本と圧倒的だ。さらにマートンの本当のすごさはフルカウントの打席数だ。これだけ早めの勝負で結果を残しながら、フルカウントの打席割合もプロ野球平均とほぼ同じ12%。早めのカウントで狙いが外れた場合はフルカウントまで持ち込む、という粘りを持ち合わせており理想的な打者の1人だ。 吉村(ソフトバンク) 昨年の成績:打率.296 5本塁打 24四球28三振 出塁率.384 初球とフルカウントの割合がともに平均を大きく上回るという特異な傾向を持つ打者。フルカウントの打席割合20%は昨年100打席以上の打者の中で9位と優秀で、フルカウントでの出塁率は.538と結果も出ている。しかしもう一つの特徴である初球打ちでの打率は.276、ホームランはなしと物足りない。念願のレギュラー奪取のためには初球打ちでよりよい結果を出すことが必要だろう。 谷繁(中日) 昨年の成績:打率.195 1本塁打 39四球36三振 出塁率.316 監督兼任となった昨シーズンは打率が2割にも届かず、ホームランも1本とさびしい数字が並んでしまった。しかし打席でのアプローチではまだまだ優秀な傾向を残している。3ボールでの打席割合は29%とNPB平均の19%を大きく上回っており、この結果として三振の数36を上回る、39個のフォアボールを選んだ。セ・リーグで三振よりフォアボールが多かったのは200打席以上の打者では谷繁を含めて5人だけ。出塁率の.319もキャッチャーとしては合格点だ。