モー娘から新しい学校のリーダーズまで…親近感と「応援しなくちゃ」心理が生んだアイドル新時代
終わらない冬は、ない。
’80年代後半から’90年代にかけて長く続いた「アイドル冬の時代」「アイドル氷河期」と言われた時代。そんななか始まった、テレビ東京のバラエティ番組『ASAYAN』内で開催されたオーディションの最終選考で落選した5名で結成されたグループ、それがモーニング娘。だ。 【画像】世界を圧巻する新アイドル「AG!」とは‥‥? 番組主導のいわば企画物のようなかたちで結成され、「デビュー曲が5万枚売れなければ解散」といった、現在のライブアイドル界でも時折見受けられるミッションを番組が課し、その奮闘ぶりを視聴者が見守り応援するうちに、じわじわ人気と知名度を獲得していったパターンだ。そう、やはりアイドルとは、自分が好感を持った対象、今でいう“推し”の成長を見守り応援することで進化していくもの。その本質は「スタ誕」のころからずっと変わっていないのだ。 2期生が加入し『抱いてHOLD ON ME』などヒットを出したりするものの、少しずつ頭打ち感も漂い始める。そこに大きな転機が訪れる。3期生として加入した後藤真希の存在と『LOVEマシーン』のリリースである。 つんく♂の手による曲を、ダンス☆マンがキャッチーなディスコサウンドに仕立てたこの曲は、そのサウンドと振り付け、そして折からのカラオケブームなども手伝い爆発的に大ヒット、ついにはミリオンセラーを記録する。その後、ミニモニ。やプッチモニ、カントリー娘。、スマイレージなど派生ユニットやグループが次々と登場、一連のグループは「ハロー!プロジェクト」という総称のもと、現在までコンスタントな人気を保ち続ける。 いっぽう男性アイドル界ではバラエティ番組の出演などでじわじわ人気を高めてきたSMAPが、’94年のシングル『Hey Hey おおきに毎度あり』で初のオリコン1位を獲得以降、『がんばりましょう』『KANSHAして』とヒット曲を連発、’96年には冠番組『SMAP×SMAP』の放送もスタート、モー娘。に先駆けて国民的アイドルの座にのぼりつめた。SMAPは男性アイドルの中でも、いわゆる“王子様”感が薄く、等身大の若者のような一面も大きくウケた。 ◆「会いに行けるアイドル」AKB48の誕生 ’05年。いよいよテレビの力を全面的に活用しないアイドルグループが秋葉原で誕生した。そう、「会いに行けるアイドル」AKB48の登場だ。 「AKB」の名は活動の拠点とする秋葉原を意味するもので、秋葉原を中心としたオタク文化への注目とリンクさせるようなご当地アイドル的な側面も持っていた。’05年12月に劇場初公演、秋葉原にある専用劇場で定期公演を繰り返し、そのキャッチフレーズの通り、ファンは劇場に行けば、お目当てのアイドルに会える。テレビや雑誌を通してではなく、ホールなどの大きなコンサート会場でもなく、身近な存在であることを徹底させ、「アイドルの親近感」は、また新たなかたちで進化した。 “会いに行ける”ことを土台にした、ある発明も生まれる。