スズキ、タイ工場を閉鎖へ 25年末までに 小型車販売伸び悩む
スズキは7日、タイの四輪生産工場を2025年末までに閉鎖すると発表した。12年に生産を開始したが、得意とする小型車の販売が伸び悩んだ。グローバルな生産態勢の見直しの一環で、タイでは主力のインドや近隣インドネシア、日本などで生産した車を輸入販売する。 スズキは11年、四輪の生産と販売の子会社スズキ・モーター・タイランド(SMT)をラヨーン県に設立した。環境に配慮した自動車の生産拡大を図るタイのエコカープロジェクトに参画し、約200億円を投じて新工場を建設して12年3月に現地生産を開始した。 現在はスイフト、シアズ、セレリオの3車種を生産し、近隣国などに輸出している。ピーク時の16年度は輸出を含め年間6万台弱を生産したが、コロナ禍などを経て直近23年度の生産実績は7579台にとどまっていた。販売台数はタイ国内が1万807台、輸出向けは1272台。 タイには小型車需要の獲得をにらんで進出したものの、現地では近年、ピックアップトラックやSUV(スポーツ用多目的車)など大型車のニーズが高まったほか、市場減速やバーツ高などもあり、業績が低迷した。さらに中国メーカーが低価格の電気自動車(EV)で攻勢をかけるなど脱炭素化の流れと競争環境の激化が加速した。スズキはインドなど伸長する市場を精査して経営資源を振り向ける。 工場閉鎖後もSMTは残り、輸入販売やアフターサービスを担う。スズキは「タイ政府が推進するカーボンニュートラルの目標達成に貢献するため、今後もハイブリッド車など電動車を提供する」としている。子会社タイスズキモーターによる二輪車と船外機の生産は継続する。
静岡新聞社