2.24にふたつの世界戦。さらに7人のランカーがひしめく黄金期に突入! 「アフター井上尚弥 」のバンタム級日本人ボクサーが熱すぎる!!
■那須川天心は世界王者になれるか? エリートたちがひしめく中で異彩を放っているのが東洋太平洋王者の栗原慶太(31歳=一力)だ。 【栗原慶太=WBC13位。27戦18勝(16KO)8敗1分】 8度の敗北を喫しているが、そのたびに這い上がり現在の地位にいる。勝っても負けてもKOが多いスリリングな選手だ。「世界となるとどうかなぁ......」と山中氏は首をひねるが、一発勝負ができる強みがあるだけに名前を覚えておいて損はないだろう。 キックボクシングから転向してきた武居由樹(27歳=大橋)と那須川天心(25歳=帝拳)は、急速度でボクシングになじみ、成長している。 まずは8戦全KO勝ちを収めている元東洋太平洋スーパーバンタム級王者の武居だ。 【武居由樹=WBO10位、WBA12位。8戦全勝(8KO) 】 「ボクサーには珍しい独特のタイミングを持っている選手です。構え合ったときに、フックなのかストレートなのか、顔面なのかボディなのか相手にわからない感じで打つんです。しかも、どのパンチでも倒せる力がある。硬そうなパンチですね。全KO勝ちというインパクトもあるし、魅力的な選手」と山中氏は手放しで称賛する。 続いて、那須川だ。 【那須川天心=WBA7位。3戦全勝(1KO)】 山中氏は「これまで紹介してきた日本人の世界ランカーの中でも、すでに上位の力があるんじゃないかと思う」と高く評価している。 「1月の第3戦は相手の世界ランカーが足を痛めて棄権してしまい天心にとっても気の毒だったけれど、あのまま続けていたらKO勝ちは間違いなかったでしょう」 那須川は帝拳ジムの後輩でもあり、山中氏は彼のジムワークを何度も見てきた。 「試合でもそうなんですが、スパーリングでもほとんどパンチをもらわないんです。目と勘がいいし、自分の思ったように動ける。パンチ力を疑問視する声もあるけれど、そもそも天心はスピードとタイミングの選手。もっと体重を拳に乗せて打つとなるとバランスが崩れる可能性もあるので、そこが難しいところです」 まだボクシングに転向して1年。3戦しかしていないだけに先のように課題を指摘されることもあるが、山中氏はこう言う。 「例えば距離の詰め方など課題とされたことが実際にできるようになってきている。今のまま成長していけばいいのでは。彼の場合、戦っていく中で生まれてくる発想がある。それも天心の魅力。本当に期待値の高い選手だし、近い将来に世界王者になると思います」 「たら」「れば」をつなげていったとき、バンタム級の4団体王座を日本人が独占する可能性もある。山中氏は「誰と誰が戦ってもおもしろい」と前置きした上で、「武居由樹vs那須川天心――これはボクシングだけでなく格闘技全般のファンが興味を持っているカード。いずれこのふたりは戦わないといけないでしょう。そう思っているファンは多いはず。バンタム級を盛り上げるためにもふたりに戦ってほしいですね」 近い将来、世界の大舞台で武居vs那須川が実現するか。 取材・文/原 功(ボクシングライター) 撮影/ヤナガワゴーッ!