【40代、50代・更年期の基礎知識 】更年期に起こる顔や体の「たるみ問題」「薄毛問題」の原因と対策
更年期に入ると同時に増えるのが、顔のたるみ、ボディラインのくずれ、髪の抜け毛などの「見た目」のお悩み。その原因解説とともに、体の中からできる対策を産婦人科医の吉形玲美さんに教えてもらった。
Q. 更年期で顔はたるみ、体のラインもくずれてきました。たるみ問題、どうしたら?
A. うわべだけ頑張ってもだめ。骨や筋肉など土台から強くしましょう。HRT(ホルモン補充療法)で改善することも見込めます 「シミ、シワ、たるみは美容の三大敵。特に更年期は、メイクでは隠し切れないたるみが進み、老け見えに大きく影響します。エストロゲンの減少で肌は乾燥し、弾力を保つコラーゲンやエラスチンを減らしてしまうためです。その証拠に、不調改善のためにHRT(ホルモン補充療法)を受けて、肌の状態がよくなる人は多いものです。 また、たるみの原因には肌の組織の下にある脂肪の下垂、筋肉量の減少、さらには骨密度の低下もおおいに関係しています。特に骨は組織の土台のため、骨量が減るとたるみが際立つことは想像できるでしょう。ほかには、紫外線や糖化ストレスもたるみを進行させる原因です。これらはどれも生活習慣によるもの。たるみを助長する習慣を少しでも改めることで、たるみをくい止めることができるはずです」(吉形先生) ◆たるみやシワ対策に有効なこと ●筋肉を増やす タンパク質と適度な運動 肌を下から支えている筋肉を増やすには、十分なタンパク質、運動が必要不可欠だ。 ●骨量を増やす カルシウム+ビタミンDと適度な運動 骨にはカルシウムだけでは不十分。ビタミンDと運動によって密度も強度も上がる。 ●糖化ストレス(AGE)を減らす 血糖値を急激に上げない シワやたるみに直結するAGE。糖質は控えぎみに、血糖値を急激に上げない食生活に。 ●光老化対策 紫外線を予防 顔や首、腕など紫外線を浴びるところは、光老化によるシワやたるみも考えられる。
Q. 抜け毛が多くなり、分け目の頭皮が目立ちます。抜け毛をストップするには?
A. 「エクオール」のサプリメントで抜け毛・薄毛が改善する例もあります。 「エストロゲンは髪の成長と維持にも欠かせないもの。エストロゲンが減り始めると髪が細くなったり、抜け毛が増えて毛量が減ったり、成長にムラが出るためにクセが強くなったりする人が増えてきます。エストロゲンと似た働きをする成分『エクオール』は、薄毛改善の作用が報告されるようになってきました。実際に、エクオールのサプリメントで抜け毛がストップしたという患者さんもいます。 育毛剤や頭皮マッサージなどと併用して、体の内側からもケアしてみてはどうでしょう? 将来的には、エクオールを含むヘアローションや美容液などの市販化も期待されています。エクオールは大豆イソフラボンから腸内で作られるので、大豆製品を意識してとることも抜け毛予防につながると考えられます」 次回は「閉経が早いのと遅いの、どちらが得?」「初潮が早い人は閉経も早い?」といった閉経に関する疑問に答えてもらう。 【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医。浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最先端に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/AZUSA 構成・原文/蓮見則子