聖光学院「センバツではなく神宮」目標かなえるV 竹内啓汰主将、思いつなぐ一打放ち号泣/東北
<秋季高校野球東北大会:聖光学院3-2青森山田>◇20日◇決勝◇福島・ヨークいわきスタジアム 聖光学院(福島1位)が青森山田(青森1位)を3-2で下し、7年ぶり2回目の東北大会優勝を果たした。初回に2点の先制を許すも、2回に4番竹内啓汰主将(2年)が先頭打者で出塁して流れを変えると同点に追いついた。その後も2本の二塁打で味方打線を鼓舞し、7回に菊地政善内野手(2年)の左前適時打で勝ち越した。苦悩しながらチームを統率したキャプテンに導かれ、東北の頂点に立った。11月20日から始まる明治神宮野球大会(東京・神宮)に出場する。 ◇ ◇ ◇ 思いをつなぎ、神宮切符を手にした。2点リードを許した2回、竹内はベンチにいる仲間たちに「もう行くしかない」と声をかけ先頭打者で打席に立った。初球からフルスイングしたバットで芯を捉え、中前へ運んだ。主将の一打に応えるように勢いづいた打線が続き同点に追いつく。7回に勝ち越すとそのまま守り抜き「センバツではなく神宮」と掲げた目標がかなった。号泣しながら校歌を歌い、うれし泣きをしすぎて下を向くと「(スタンドの)みんなの顔を見てやれ」と横山博英部長から声をかけられた。それくらいうれしさがあふれた。 悲願の優勝までは、決して平らな道ではなかった。主将になった当初、「毎日閉塞(へいそく)感を感じていた」と振り返る。力強く先導したいがあまり自分の考えを押しつけてしまっていたが、解決策を求め、仲間1人1人の声に耳を傾けた。「引っ張っていこうではなく、みんな一緒に進んでいこうという考え方に変えた」。次第にチームがまとまりだした。 さらに、竹内の背中を押したのは前主将だった。新チームになってから寮の部屋に佐藤羅天(らま)捕手(3年)からの置き手紙が置かれていた。「目指すのは神宮なんだから、お前がくよくよしてたら駄目だぞ」。その文字に感化されチームを1つにしてきた。 今大会を通して主将から見た聖光ナインは「線引きをされ腐ってしまってもおかしくない選手も必死に、日々の練習に取り組んでいた」とチーム全員が同じ方向を向くことができたことが大きな勝因、収穫となった。掲げた神宮への道が開いたが闘志は燃え続ける。「全国はもっと苦しい戦いが待っている。チーム全体で成長していきたい」と力強い。自分たち自身で誇れるチームとなり「日本一」に向かっていく。【高橋香奈】