【大学野球】先発起用した選手が即活躍する明大 選手層の厚さ、田中武宏監督の眼力が光るさい配
限られた打席の中で結果を残して
【9月29日】東京六大学リーグ戦 明大8-0慶大(明大1勝1分) 明大はチーム内競争が激しい。ベンチ入り25人をめぐるサバイバルはカード初戦の前日、金曜日まで続く。田中武宏監督以下、スタッフミーティングで最終メンバーを選出。「本当に、難しいんです」(田中監督)。1ポジションに3人ほどが控えており、50人近くから絞り込むのは、大変な作業だという。 榊原七斗(2年・報徳学園高)は抜群の外野の守備力で、1年春から神宮でプレーする機会に恵まれた。1年秋に初めて規定打席(打率.237、4打点)に到達し、外野のレギュラーの座をつかむ。しかし、2年春は10試合に出場したものの、すべて途中出場だった。その内訳は守備から入ったのが8試合、代打1試合、代走1試合と、ベンチに欠かせないスーパーサブであることは間違いなかった。 もちろん、控えに甘んじるつもりはない。今秋もベンチスタートだった。東大1回戦(代走から右翼守備)、同2回戦(右翼守備から)、慶大1回戦(代打から右翼守備)。与えられた役割を全うした。全3試合、途中出場から3打数3安打と、限られた打席の中で結果を残してきた。常日頃からの準備の賜物である。
慶大2回戦で初先発のチャンスがめぐってきた。2回裏一死一、二塁から内角の139キロを振り抜き、右越え先制3ランを放った。リーグ戦初本塁打である。明大はこの一発で主導権を握り、5回裏には宗山塁(4年・広陵高)が3ランを放ち、終盤も突き放して8対0で快勝し、先勝した。榊原は笑顔で話した。 「素直にうれしい。練習の中で良いスイングができていたので、バットの出も良かったんです。強く低い打球を心がけており、ボールがバットの下に入って、良い打球になった」 先発起用した選手が即、神宮で活躍する。選手層の厚さはもちろんだが、田中監督の眼力が光るさい配だった。活動拠点である内海・島岡ボールパークで学生と寝食をともにしている指揮官。すべての行動を見た上で、25人のメンバー選考をしている。私生活が野球に出る。2年生・榊原があらためて証明した。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール