☆旧車スーパーカブ☆クランクケース内圧コントロールバルブで何が変わる!?
エマルジョン吸い込みポートをインマニフランジへ追加工
キャブレターのインテークマニホールドを取り外し、取り付け説明書に従い決められた部分にエマルジョン抜きチューブのフィッティング取付穴を加工した。これが第2の追加工ポイントである。エマルジョンチューブ用のフィッティングネジサイズはM6P1.0。Φ5.1mmのキリで下穴加工を行ったら、斜めにならないようにタップ加工を施した。この加工は、経験者でないと難しい。ガソリン対応の液体ガスケットをフィッティングのネジ部分に塗布してマニホールドへ締め付け、バルブ本体から出ている細いウレタンチューブを差し込む。あとは復元してキットパーツレイアウトを構築しよう。
見た目はこの違い。モンキーカスタムでも人気パーツ
キットパーツを取り付けたことが一見でわかる。純正標準レッグシールドなら、ほとんど目立たないレイアウトになりそうだ。取り付け時間は概ね1時間半程度だった。メンテナンス経験者で内圧コントロールバルブの働きを理解しないと、バルブの向きなど間違ってしまう可能性もあるので、まずは部品の機能を理解することから始めよう。 撮影協力/NAG SED 【POINT】 ▶スーパーカブ×メンテの世界・メンテナンスではなく、ある意味「チューニング」リポートだが、ボアアップなど排気量アップしたエンジンには大きな効果を得られると評判のパーツを装着した。ここではスーパーカブに取り付けたが、機種専用のキットパーツから汎用パーツまで、様々なラインナップがある。 バイク仲間がスーパーカブC90カスタムをベースに、バイクいじりとチューニングを楽しんでいると聴いたので、その車両に取り付けることで「インプレッション」をお願いしたのが、この内圧コントロールバルブ。今では複数のメーカーから発売されているクランクケースの内圧コントロールパーツだが、その元祖考案者がNAG SED。ホンダ横型OHCエンジン専用のキットパーツがあると聴き、仲間のスーパーカブC90に取り付けてみた。同商品が登場して20年を超えるが、現在では、その効果が各方面で認められ、違った形態で同じ働きを担うパーツが複数登場しているが、こちらが元祖商品だ。 製造元のNAG SEDでは、様々なテストと改良を繰り返し、「内圧コントロールバルブ」メーカーとして、レースシーンやカスタムシーンに君臨している。同社製品最大の特徴は、耐久性が高く壊れにくい「円筒型」ワンウェイバルブを採用しているところにある。冷間エンジンから暖機運転するときには、水分とエンジンオイルが混ざることで発生するエマルジョンが邪魔な存在となるが、そのエマルジョン対策にも取り組んだ商品をラインナップ。具体的には、暖機時に発生するエマルジョンやブローバイガスに混じったエンジンオイルを引き抜く仕組みを開発。バルブ本来の機能が低下しないような回路を、具現化しているのだ。 ホンダ横型OHCエンジン用のキットパーツは、カムスプロケットの中央付近に排出通路を設けることで、エンジンオイルがブリーザーホースに混入しにくい構造としている(台風の目をご想像ください)。部品点数が多く、決して安価なパーツではないが、ホンダ横型エンジン用クランクケース内圧コントロールバルブとしては、理想的なメカニズムを追求しているのだ。 キットパーツ装着後のC90試運転から戻ったマシンオーナーによれば「高回転域の伸びが良くなり、振動が減った印象です。あとは走り込んで燃費を測定してみたいです」とお話しして下さった。後日、通常走行での燃費は45km/リッターだったそう。今回はマフラー交換のみ行われているノーマルエンジンのC90カスタムで取り付けインプレッションを行ったが、仮に、ボアアップやハイコンプビストンなどなどを組み込んだエンジンに取り付けとしたら、また違った印象になるとおもう。また、カスタムパーツを魅せるハイパフォーマンス系モンキーカスタムには、印象が強いパーツになりそうだ。
たぐちかつみ