日本のアイデンティティー、民主主義のインフラ 「国立公文書館」の役割
「3112」対「188」職員数に差
そんな重要な役割を担う公文書館だが、スタッフなどの体制は十分とはいえない。国立公文書館の資料によると、欧米各国の国立公文書館の職員数は、米国が3112人、ドイツは687人、英国で600人なのに対し、日本は188人にとどまる。国立公文書館では「職員が少ないと、保存期間などの助言を行う際、その公文書をチェックする人数が不足がちになります。移管された資料の調査、研究にも人手が必要」と説明する。 現在、利用者の多くは、研究者や学生、歴史ファンが占めている。国立公文書館が資料の閲覧室の利用者に行ったアンケートによると、来館目的について、利用者の41.0%が「学術論文、卒業論文、修士論文執筆のため」、39.7%が「学術上の調査研究のため」、13.5%が「趣味・歴史等への関心から」と回答している。 国立公文書館では、これらの層に加えて、より幅広い層の人々の利用も促進し、利用者数をさらに拡大したいという。一般の人々の関心を引きつけるため、同館は年4回の企画展を実施している。取材に訪れた日は、ちょうど「平家物語」に関する企画展が開催されていた。ガラスケース内には平家物語の写本や歴史書「吾妻鏡」など、平清盛をはじめとした平家一門が生きた時代に関わる資料が展示されていた。 9月22日からは、明治時代がはじまった1868(明治元)年から満150年を記念して、廃藩置県の詔や、新橋・横浜間で鉄道開業時の資料などを通して明治日本の歩みを振り返る特別展を行う。 (取材・文:具志堅浩二) ・国立公文書館デジタルアーカイブ