国民年金はどうして月6万円程度なのですか? 少なすぎます。昔は6万円で生活できていたのでしょうか?
老齢年金の見込み額などを見て、現役時代の収入と比べて少ないことに驚く人も多いでしょう。とくに自営業者などで公的年金が国民年金のみの人は、たった6万円程度の年金では少なすぎると感じるのではないでしょうか。 そこで本記事では、国民年金の役割や公的年金の金額が決まる仕組み、過去の年金制度と給付水準などを解説するとともに、年金の金額が少なすぎると感じる場合の対処方法を紹介します。
国民年金(基礎年金)は老後生活の「基礎的部分」への保障
国民年金(基礎年金)は全ての国民に共通して支給される年金で、現在の3階建ての年金制度の1階に当たります。令和5年度の水準では、満額で6万6250円が基礎年金として支給されます。 基礎年金には文字どおり老後の生活の基礎的な部分を保障する役割がありますが、老後生活全体を支える性質のものではありません。そのため、国民年金単体では、それだけで生活していけるほどの金額ではないのです。
現在の国民年金の金額は物価や賃金の変動とモデル年金の考え方で決まっている
国民年金(基礎年金)の金額は、標準的な世帯の年金(モデル年金)の考え方と、マクロ経済スライドの仕組みにもとづいて決まっています。 現在のモデル年金は、平均的な男子の賃金で40年間就業した夫と40年間専業主婦の妻の2人分の基礎年金と、夫の厚生年金の合計額です。令和5年度のモデル年金額は、月額22万4482円(夫婦の基礎年金6万6250円×2+厚生年金9万1982円)となっています。 現在の年金の給付水準は、賃金や物価の上昇率に応じた年金額の上昇を、現役被保険者の減少と平均余命の伸びから算出したスライド調整率を差し引いて抑制する「マクロ経済スライド」によって緩やかに調整されています。モデル年金の所得代替率(モデル年金の男子の手取り収入に対する65歳時点のモデル年金額の比率)の50%が下限と決められており、現在は60%程度の水準です。 厚生年金も含めて給付水準を考えるため、基礎年金のみの金額では現役世代の平均的な年収を大きく下回ることになります。