国民年金はどうして月6万円程度なのですか? 少なすぎます。昔は6万円で生活できていたのでしょうか?
昭和40年の年金水準は今より低かった
昭和40年の年金は、当時の男性の平均的な標準報酬月額20年加入した場合をモデルとする「1万円年金」でした。令和4年の消費者物価指数を昭和40年と比べると約4.3倍なので、当時の1万円の価値は現在の4万3000円に相当します。 現在の基礎年金の約6万円よりも低めの水準だと言えるでしょう。昔は6万円以下で生活できていたということはなく、現在と比較して年金制度が整っていなかったのです。 この4年後の昭和44年には「2万円年金」がスタートし、昭和48年には、現在の水準に近い男子平均の賃金の6割を目途とする「5万円年金」へと年金制度は変化していきました。
現在の年金制度は3階建て
現在の日本の年金制度は、基礎年金を1階部分、厚生年金を2階部分、企業年金やiDeCo(確定拠出年金)などの私的年金や、国民年金第1号被保険者を対象とする国民年金基金などを3階部分とする、3階建てになっています。基礎年金・厚生年金の公的年金だけでは生活するのに少なすぎると感じる金額でも、任意で加入して上乗せできる私的年金を組み合わせることで、老後の生活を支える十分な資産を作れるような制度設計になっているのです。 自営業者など老後の保障が基礎年金だけで不安に感じている人は、iDeCoや国民年金に加入して年金を上乗せすることを検討するのがおすすめです。
国民年金は生活の基礎的部分だけを支える保障
国民年金はあくまでも老後生活の基礎的な部分を保障するもので、老後の生活費全てをまかなえるような金額設定にはなっていません。厚生年金を含めた公的老齢年金の給付水準自体が現役世代の収入の6割程度であり、現役時代と同等の給付額は望めません。 代わりに、年金制度の3階部分に当たる私的年金制度を利用して、足りない老後資金を作る選択肢があります。年金制度を理解して、老後の生活に備えましょう。 出典 日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について 厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方 日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか? 厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方 厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」 | いっしょに検証! 公的年金 厚生労働省 令和5年度の年金額改定について 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部