「親がシャブ中で、前科5~10犯なんて人も全国に普通にいます」…「児童養護施設」の闇が向かう先
「連載開始当初は誹謗中傷や嫌がらせがすごかったですが、時間が経つにつれて…」
『「子供を殺してください」という親たち』は現在15巻を重ね、今では関係者たちも太鼓判を押してくれる作品となっているというが、もちろん連載開始当初から好意的に受け入れられていたわけではない。押川氏はこんな思いと、覚悟を口にする。 「実は連載開始当初は誹謗中傷や嫌がらせがすごかったですが、時間が経つにつれ、『押川の言うとおりだ』という声に変わってきたんですね。親族間事件は頻発しているし、京都アニメーション放火殺人事件など、『漫画に描いてあったことと同じだ。押川案件だ』という事件が身近になってきたからでしょう。 新連載の『それでも、親を愛する子供たち』も、同じように、読者の理解を得られるよう真摯に向き合っていかなければならないと思っています。精神疾患のある方も、さまざまな事情を抱える子どもも、地域で受け入れて支えていく。我々一人ひとりがソーシャルワーカーになる覚悟が求められています。 実在する人間、実在する問題について、プライバシーを守りながらどうやって真実を出して漫画に描いてもらうかが勝負になりますが、この漫画には、施設の理事長、園長はじめ職員の方、役所の方や専門家、子どもたちや保護者など、協力してくださる方がたくさんいます。 1話目から、皆さん期待してくださっています。そこにあるのは、『困難な環境におかれてもなお、たくましく生きる子どもたちがいることを知ってほしい。応援してほしい』という願いです。 だから一番我々がやっていかなきゃないことは、1巻でもこの漫画が長く続いて、真実をきちんと伝えることです。漫画は商業ベースですから、売れないと続かない。続かないことには、彼らの期待を裏切ることになりますから」 押川剛 1968年生まれ。福岡県北九州市出身。ジャーナリスト・ノンフィクション作家・株式会社トキワ精神保健事務所所長。専修大学中退、北九州市立大学卒。1996年、“説得”による「精神障害者移送サービス」を日本で初めて創始。移送後の自立・就労支援にも携わる。その活動は国内外から注目を浴び、ドキュメンタリーが多数放映される。著書に『子供部屋に入れない親たち』『「子供を殺してください」という親たち』『子供の死を祈る親たち』など。 取材・文:田幸和歌子
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