築100年超の京町家は、どうモダンによみがえったのか。匠の技が随所に残る「Nazuna 京都 東本願寺」
◆朝食は囲炉裏で調理された炭火焼をメインに京の旬の味覚を
朝食は1階ダイニングで。一人客の筆者は囲炉裏を目の前にしたカウンター席へ。前日夜に主菜を肉か魚からチョイスします。この日は、豊後牛のステーキまたは鮎の塩焼きでしたが、筆者は鮎の塩焼きをチョイス。 まず、ご飯と赤出汁みそ汁、きのこの餡かけ、牛肉の山椒煮や玉子焼、柿を模した麩饅頭などが小鉢で提供されます。 やがてスタッフが炭の上に網を敷き、季節の野菜を焼き始めます。この日は万願寺唐辛子、蓮根、パプリカ、椎茸、丹波しめじ、プチトマト、生麩でした。刻み山葵、柚子みそ、田楽みそ、塩、しょうゆなどでいただきます。表面は香ばしく、素材の瑞々しさが程よく残る絶妙な焼き加減で、上品な味でした。 鮎の塩焼きは、皮がパリッと、身はしっとりと焼き上がっており、鮮度のよい上質な鮎と分かります。頭から尾びれまで、余すところなく味わい尽くしました。 翌朝のチェックアウトは11時まで。朝食後は静かな東本願寺界隈をお散歩したりしながら、ゆったりと過ごせます。宿は13歳以上が宿泊可で大人のゲストのみなので、静かで落ち着いた雰囲気でした。 居心地がよく、心身ともに安らげたのは、移築された建物ではなく、100年以上この地で歴史を重ねてきた京町家建築の再生宿だからこそ。また、大工道具や古い意匠を身近にできるので、日本の伝統建築についての知識が得られる滞在にもなりそうです。 町屋旅館「Nazuna」ブランドは伝統的な建築を活かした宿づくりをコンセプトに、京都市内で『ミシュラン京都・大阪』で三ツ星を獲得した「Nazuna 京都 二条城」、「Nazuna 京都 御所」や、「Nazuna 京都 椿通」などを展開。機会があれば、他の宿へも足を運びたいと感じました。 「Nazuna 京都 東本願寺」 ・住所:京都府京都市下京区不明門通上珠数屋町下る亀町2 ・TEL:075-585-2670 ・交通アクセス:JR京都駅から徒歩9分、または地下鉄五条駅5番出口・8番出口から徒歩すぐ
塩田 典子(一人旅ガイド)