【特集】被災者の目線で 阪神淡路大震災経験した地元放送局の使命
被災者が必要としている情報は何か 被災したテレビ局だからこそ伝えられることを
【宮田英和さん】 「モニターが並んでいてよその局がある。サンテレビだけ青い画面に字だけが出ている。それが延々と続いている。本当に地味な放送だったけど地味な放送をすればするほど視聴者からの反応は大きかったので『あぁこれなんだ』という風に思いました」 「被災者目線」を大切に。その取材姿勢が生きた出来事があります。 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件。 2月から5月にかけて小学生5人が相次いで襲われ2人が殺害されたこの事件では容疑者の少年が逮捕されるまでの間、被害者や地元住民が激しいメディアスクラムにさらされました。 この状況を受け、サンテレビは被害者遺族への取材を自粛することを決めます。
常に被災者の目線で 阪神淡路大震災が地元局に与えた使命
【宮田英和さん】 「これ以上、地元の放送局として住民に不安や恐怖を与え続けるわけにはいかない。震災の時と同じように地元目線に取材をしようと決めた。 取材の自粛を新聞で知った被害者遺族から連絡が入り、後の取材につながりました。 【宮田英和さん】 「住民へのインタビューはやめる。一方で安全が確保された児童館や警備員がいる公園とかいわゆる住民のための安心できる情報を取材して放送するということを決めました。阪神淡路大震災の時の被災者目線、地元の住民が必要としている情報は何かという放送だったと決めたわけです」
阪神淡路大震災からまもなく30年。 復旧や復興が進み街並みが変わっても地元のテレビ局としての役割に変わりはありません。 【宮田英和さん】 「常に今困っている人、今弱い立場にいる人、その人たちの目線でしゃがんで取材したい。放送したいというのはあの震災以降、間違いなくサンテレビの方針だと思っています。 災害における命を救う情報の大切さを認識したうえで被災者目線で伝えてほしい。これが私の阪神淡路大震災で学んだ最大の教訓です」