マー君争奪戦 ヤンキース交渉の切り札は黒田?
■日本と異なるメジャー仕様 お手本が必要 マー君は、2013年のシーズンは、これまでよりストレートを減らした。球種の中のトータルのパーセンテージを示すと、2011年が36%、12年が33%、12年が32%である。逆に磨きをかけ多用したのがスプリットである。おそらくマー君自身が、ストレートだけではメジャーで通用しないとピッチングスタイルを変化させたのではないだろうか。ツーシーム、カットボールは持っているが、現段階では、それほど有効なボールではない。 メジャーの公式球と固くて傾斜が急なメジャーのマウンドにどれだけ適応できるかは、成功のカギである。その意味で、試行錯誤を繰り返しながらメジャー流に進化した最高のお手本の黒田が側にいればアドバイスを求めることもできるし、適応するための不安は少しは解消されるだろう。Aロッドの出場停止により懸念だったマー君獲得の資金問題をクリアした“本命”のヤンキースは、黒田の存在も、争奪戦において大きなプラスの材料になりそうだ。だが、その一方で、まったく逆の見方もある。 ■マー君が優先させる条件とは メジャー事情に詳しい評論家の元中日の与田剛氏は、こんな意見だ。 「日本人のいるチームをあえて避ける可能性もありますよね。マー君は、非常に気をつかう性格。特に先輩には礼儀正しく気を使います。彼は、そういう環境ではなく、昨年の楽天のように、自分で責任感を持ってリーダーシップを発揮できる場所のほうが力を出します。彼自身が、そこまでの自己評価をしているかどうかですが、あえて日本人がいないところを選ぶことも可能性しては捨てきれません。家族の問題もあるでしょうし、代理人に任せている契約の条件で何を優先させているかでしょうね」 “本命”ヤンキースにとって黒田の存在は、切り札となるのか、それとも……。いずれにしろ、日米の関係者の話を総合すると、結論はポスティング交渉の期限である現地時間24日午後5時のギリギリまでかかりそうな気配である。記憶に新しいところでは、2011年のオフに日本ハムからレンジャーズにポスティングで移籍したダルビッシュ有は交渉期限の最終日に決着している。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)