マー君争奪戦 ヤンキース交渉の切り札は黒田?
ヤンキースが、ポスティング申請をしている楽天の田中将大との交渉において、日本人ローテーション投手、黒田博樹の存在をアピールしていることが、この日までにわかった。 ■渡米後、”メジャー仕様”に適用し成長 黒田は、昨年は11勝13敗、防御率3.31の成績。負け数が上回ったが、投球回数は200イニングを超え、現状、CC・サバシアに次ぐ開幕投手候補だ。ヤンキースが、イチローではなく黒田の存在をアピールするのは、黒田がメジャーに来てから、そのピッチングスタイルを大きく変えてアメリカに適応した経緯にある。 メジャーで6シーズンを終えた黒田は、アメリカに渡ってから、本格的にツーシーム、カットボールを覚えて使い始めた。メジャーの公式球は、滑りやすく重いが、縫い目が高く日本の公式球よりも変化はしやすい。その特性を生かしたツーシーム、カットボールを操ってホームベースを横に大きく使う。 ボールゾーンからストライクに動かすボールと、ストライクからボールゾーンに動かすボールを、ひとつ、ふたつ分くらいのボール幅で出し入れができる。右打者の内外、左打者の膝付近に巧みに投げ分けながら、クオリティースタート(6イニング以上 自責点3以内)を守っている。そのツーシームには、勝負球としても、カウント球としても使えるほど制球に自信を持っているので、ピンチになっても得点を許さないという我慢強いピッチング術を身につけチームの内外から高い評価を受けている。 ■実績と経験があり日本語を話せる頼れる存在 「経験と実績があって日本語で喋れる同じ日本人投手が近くにいることは大きいと思います。同じ先発タイプですし、黒田さんも色々と工夫をしながらメジャーに適応されました。田中投手も、メジャーでは、おそらくボールや、マウンド、メジャーの打者の傾向など、適応に悩むことがたくさん出てくると思います。そのときにアドバイスを求めることのできる黒田さんが近くにいることは大きなサポートになるでしょう。その意味で、私は、このオフに黒田さんには、ぜひチームに残ってもらいたいと願っていました。そのことは、今回、田中投手がチームを選択する判断材料に入ってくるのではないでしょうか。」とは、ヤンキースの日本在住プロスカウトの紀田彰一さんの話。