「2型糖尿病」死亡リスクは“低所得ほど高い” 収入と糖尿病の関連性が研究で明らかに
韓国の高麗大学校の研究グループは、「低所得の20~30代の2型糖尿病患者は死亡リスクが高い」という研究結果を発表しました。この内容について濵﨑医師に伺いました。 【イラスト解説】「糖尿病」になった人が“食べてはいけないもの”
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 韓国の高麗大学校の研究グループが発表した内容を教えてください。 濵﨑先生: 今回紹介する研究報告は、韓国の高麗大学校の研究グループによるもので、研究成果は学術誌「JAMA Network Open」に掲載されています。 研究グループは、韓国国民健康保険公団の研究に参加した2008年1月1日~2013年12月31日に2型糖尿病と診断され、2019年12月31日まで追跡された20~79歳の成人60万4975人と、対照群の63万5805人を対象にして、2023年1月1日~2024年8月27日の医療データを解析しました。 その結果、2型糖尿病群では対照群と比べて、低収入であるほど死亡リスクは高くなったことが明らかになりました。また、対照群と比較した全死亡率の調整オッズ比は、高所得の2型糖尿病サブグループでは1.47、中所得では1.79、低所得では2.03となりました。 とくに関係性が顕著だったのは、若年者の所得と死亡リスクです。2型糖尿病の低所得者と高所得者を比べた全死因死亡率の調整ハザード比は、20~39歳では2.88、40~59歳では1.90、60~79歳では1.26でした。 若年者での所得関連の格差のパターンは、心血管疾患による死亡率において顕著であり、がんによる死亡率では小さいことが示されました。 研究グループは、今回得られた結果について「収入は個人の健康に影響を与える重要な社会経済指標となります。過去の研究でも、糖尿病患者の収入と罹患率あるいは死亡率のあいだに逆相関が示されています。 低収入は、血糖管理不良、合併症や心血管リスク因子の不十分な管理のリスクが高いことと関連しており、若年の2型糖尿病患者に焦点を当てた社会的支援や医療政策が求められます」と、コメントしています。