節分を前に明石のり最盛期 恵方巻きで知名度アップ目指す
速い潮の流れで育ち肉厚うまみある「明石のり」
節分を前に明石のり最盛期 恵方巻きで知名度アップ目指す 撮影:北代靖典 THEPAGE大阪
海苔生産量全国2位を誇る兵庫県。特に県内産の4割を占める明石市では「明石のり」の生産が節分の日に食べる巻き寿司の材料に使われるため生産が最盛期を迎えている。明石海峡の速い潮の流れの中で育った「明石のり」は肉厚でうまみもたっぷり、無添加で安心安全な食材だという。29日には同市にある魚の棚商店街で「明石新のり恵方巻まつり」が行われるそうで、それに先立ち行われたグルメプレゼンテーションの様子をのぞいてみた。 【拡大写真と動画】明石で街をあげての釣り・漁師めしツアー潜入
300年かけ技術開発重ね、現在の加工法生まれる
JR明石駅前に昨年12月9日開業したばかりの「あかし市民広場」で行われたイベントには、明石市内の5漁港高級ブランドのりをはじめ、「明石海峡巻」「明石のり恵方巻キムパ」「明石のりラーメン」「明石のりのPIZZA」「明石のりのおにぎり」「恵方ロール」などが登場し、それぞれの魅力をPRした。 ちなみに海苔の養殖は古く、江戸時代に始まったと言われている。約300年の年月をかけて技術開発が重ねられ、今の加工法が生まれたという。 明石では1949年から試験的に行われ、1968年から本格的に「浮き流し養殖法」というものが導入されて「海苔養殖漁業」が進んだという。
海苔は何にでも合う、食べればその美味しさがわかる
海苔の研究を50年ほどやっている海苔博士、東北大学農学博士の大房剛氏はこういう。 「昭和24年(1949年)に“糸状体”(細胞が1列に並んで糸状になったもの)が発見され、のりの一生が明らかになり、人工的に種つけができるようになった。日本では2つの方法で養殖し、支柱漁場(パリパリ海苔)と浮き流し漁場(しっかり海苔)がある。明石のりは、しっかり海苔。食べればその美味しさがわかる。主流は今、パリパリした海苔ですが、しっかり海苔も、うまみ成分を充分に持っている。最近は食べ方の工夫をする提案をしています。海苔は何にでも合います」
明石のりの生産方法は?
では、明石のりはどのように生産されているのだろうか。生産工程の見学に訪れたのは、明石のりの漁場・西二見漁港の「山本水産」(加工場)だ。 簡単に説明すると、まず明石のりの収穫(刈り取り)から始まり、海苔をタンクに入れて水洗い。異物を除去(前処理)。海苔を細かく刻み、乾燥機で乾燥。異物除去(後処理)。全自動だ。出来上がった海苔をセンサーや人の目で検品という流れになっている。 この明石のりを味わえる「明石新のり恵方巻まつり」(会場:青空楽市)は29日。商店街の各店が趣向を凝らしたメニューを期間限定で販売するほか、会場では明石のりラーメンの試食をはじめ、「爆弾おにぎり」の無料体験。明石商業高校生が明石のりを使用した創作「恵方パン」を販売するイベントなどがある。 明石だこ、明石鯛、明石焼きは有名だけど、明石のりはそれほど有名ではない。今年は知名度アップとなるか? (文責/フリーライター・北代靖典)