鈴鹿市駅コンビニ店員が改札業務も兼務 そのメリットは?
鈴鹿市駅コンビニ店員が改札業務も兼務 そのメリットは? THEPAGE愛知
近畿日本鉄道は1日、鈴鹿線・鈴鹿市駅(三重)に店員が駅の一部業務を担当するコンビニエンスストア「ファミリーマート近鉄鈴鹿市駅店」をオープンさせた。地方のローカル鉄道などでは駅業務の一部を周辺の商店や個人に委託する例はあるが、大手私鉄が同様の形を取るのは珍しい。ファミリーマートの広報担当者は「これを機に、新たなビジネスモデルを構築したい」と話す。コンビニ店員が駅業務を行うことで、どんなメリットが生まれるのだろうか?
コンビニ店員が受け持つ駅業務は?
「ファミリーマート近鉄鈴鹿市駅店」は店舗窓口から駅業務を行える構造となっており、店舗には近鉄から出向した社員1名とアルバイト数名がコンビニ店員として店頭に立つ。 コンビニ店員が受け持つ駅業務は、自動改札機を通らない切符の改札や精算業務、ホーム・コンコースの清掃を担当。店舗内のレジが駅改札口に隣接しているため、コンビニ業務を行いながら駅業務もこなすという内容だ。利用者は窓口横に設置されたインターホンで店員を呼び、改札や精算などの対応を受ける。 オープン初日には、店舗内に複数名のスタッフを配置。レジや品出しなどのコンビニ業務の傍ら、駅員として改札や精算に対応する姿がマスコミ向けに公開された。 同店の店長である豊田さんは「コンビニ業務と駅業務の双方共に、安全面を意識したい。スタッフには基礎知識をレクチャーする10日間の研修により、安全意識についてしっかりと教えていく」と、全国的にも珍しい形での店舗運営に対して意気込みを見せる。どんな店にしていきたいかと聞かれると、「地域に密着した店舗を目指したいですね」と笑顔で話していた。
そもそも、なぜコンビに店員が駅業務を兼任?
そもそも、なぜコンビニ店員が駅業務も兼任して担当することになったのだろうか。その理由を近畿日本鉄道秘書広報部の伊藤さんに聞くと「鈴鹿市駅横に建つビルの1階に、ファミリーマートが出店することが決まりました。HD化した近鉄グループとして、グループを挙げて駅空間を魅力あるものにしていきたく、かねてより係員削減の予定もあったので、タイアップという形で人員の有効活用とサービス維持を図ることとなった」と説明。 一方で通常のコンビニ業務に加え、駅業務まで兼務することになるファミリーマートにはどんな利点があるのだろうか。ファミリーマート広報担当の石井さんによると「現在、ファミリーマートの駅関連店舗は470店以上あります。その中で、店員が駅業務に携わるのは弊社では初の試み。同店舗をビジネスモデルに、観光地や無人駅に対して新たなアプローチができれば」と話していた。 鈴鹿市駅の利用者は、日に平均して2800人程度。近隣に高校と市役所があることから通勤通学者の利用が多く、ピークに上る朝夕のラッシュ時にはホームの端まで乗降者で入り乱れることもあるという。その点の対策も打っており、ラッシュ時間帯を含めて鈴鹿市駅のスタッフだけで対応しきれない場合は、近隣の駅を巡回する形で勤務する駅員が駆け付け、助役として対応するよう連携している。 前述の伊藤さんは「弊社では、駅空間の魅力向上も目標として進めております。コンビニ店員が駅業務に携わることで地域の方との交流を密にし、活性化の助力になれば」と呼び掛けていた。