「大阪の下町」の気さくさ 多国籍難民集うヨルダンに渡ったイエメン人家族
アラビア半島北端にある中東の小国ヨルダン。シリア、サウジアラビア、紅海、パレスチナ、イスラエル、イラクと接し、パレスチナからの移住者をはじめ、多国籍の人が集う。ヨルダンの首都アンマンに拠点を置きながら、内戦で国を追われたイエメン難民を取材した。
さまざまな国籍の人が集まる首都アンマン
ヨルダンの首都アンマン。山々が連なり、そこにびっしり建ち並ぶ石造りの建物はここではお馴染みの光景だ。その中でシリア、イラク、イエメン、ソマリア、スーダン、チャド、フィリピンなどからやってきたさまざまな国籍の人々が集まる地域がある。国際色豊かだが、難民として暮らす人々も多い。今回、2017年10月末からおよそ2カ月半の間のアンマン滞在中、イエメン難民取材のために、足繁く通った場所だ。
日本ではヨルダンと聞くと、どんなイメージを持たれるのだろう。砂漠が広がり、人口の9割以上はイスラム教徒で、パレスチナ、イスラエル、シリア、イラク、サウジアラビアに接している。こうした情報からも、「危険な国」と考える人も少なくないのではないだろうか。 特に2015年1月、イスラム過激派組織IS(イスラム国)が起こしたジャーナリスト後藤健二さんと湯川遥菜さんの人質事件に関する連日の報道で、ヨルダンが一躍知られることになった一方、偏ったイメージが広がったように感じる。 滞在していた2017年12月には、米国のトランプ大統領が聖地エルサレムをイスラエルの首都と宣言し、パレスチナ、イスラエルで衝突が発生。他の中東イスラム諸国ではトランプ宣言に反対するデモが繰り広げられ、ヨルダンでも同様のデモが毎週のように行われていた。 確かにそうした面だけ切り取ると、「危険な国」と見られてしまうのかもしれない。
大阪の下町のようなフレンドリーさ
今回ヨルダンを訪れたのは、およそ10カ月ぶりだ。2015年1月から17年1月までの2年間、青年海外協力隊の環境教育隊員としてヨルダンのザルカという地域で活動した。 「大阪の下町」 ── 。 過去に2年、この国で暮らした身としては、ヨルダンや中東をこんな風に表現すると、一番しっくりくる。 人々はフレンドリーで、街中や市場を歩いていると必ずと言っていいほど、声をかけられる。アジア人は皆同じに見えるらしく、遠くから「おーい中国人!」と呼ばれたり、カメラをぶら下げていようものなら「写真を撮ってくれ!そしてフェイスブックで送ってくれ!」とせがまれる。 街角のお茶売りのおじさんに「シャーイー(砂糖たっぷりの紅茶)でも飲んでいけ」と呼び止められたり、市場の八百屋では「これでも食べろ」とタダで果物や野菜を渡してくれることもあったり。まさに犬も歩けば棒に当たると言った感じで、何かしらの交流がある。外国人も気にせず、話しかけてもてなすホスピタリティーは、どこか「大阪のおばちゃん」に通ずるものを感じてしまうのだ。