「ファンはイライラ」とマキロイが苦言も PGAツアーとリブゴルフ、統合交渉は遅々として進まず
実は捗っていなかったPIFとの交渉
ふと気づけば、PGAツアーはSSGと手を取り合っていて、PIFはいつの間にか交渉のテーブルから押し出されていたのだ。 もはやPGAツアーとPIFが協調し合うことはないのか。両方のツアーの選手たちが、同じ舞台の上でプレーする未来は来ないのか。 そう問われるたびに、モナハン会長は「PIFとの交渉は続けている」と答えた。やがてPIFとの交渉は、選手会でも選手理事でもなく、新たに立ち上げた「交渉分科会」が受け持つこととなった。 交渉分科会のメンバーは、ウッズ、マキロイ、アダム・スコット、モナハン会長、元PGAツアー選手で現在はファイナンシャルアドバイザーのジェフ・オギルビー、それにSSGのビジネスマン2名を含めた合計7名。 リーダー役のウッズは「交渉分科会の業務が多忙」という理由で、栄えある米欧対抗戦「ライダーカップ」の米国チーム・キャプテンを辞退したほどで、さぞかしPIFとの交渉は捗っているのだろうと期待されていた。
PIFとの交渉はあえて後回しか
プレーオフ最終戦、ツアー選手権の開幕前の会見で、米メディアはモナハン会長にPIFとの交渉の進捗状況を尋ねた。もちろん、進展していることを期待した上での質問だったが、モナハン会長の返答はなんとも曖昧なものだった。 「PIFとの会話や対話は続けている。健全なマインドを抱き、適切な相手と話し合いを続けている。だが、この案件はとても複雑で……今は発表できることは特にない」 後退はしていないが、前進もしていないという意味なのだろう。遅々として交渉が進んでいないのは「内容が複雑だから」とモナハン会長は煙に巻くような答え方をしており、「何としてでも前進させたい」という前向きさや熱意は、まるで伝わってこなかった。 「PGAツアーが今季とほぼ同じ日程で2025年シーズンを迎える」ことは誇らしげに発表したものの、PIFとの交渉は曖昧なままにしている。それでも大勢に影響はないと考えているからなのか、それとも時間稼ぎをしているのか。 リブゴルフが創設されて以来、PGAツアーは大揺れとなり、スター選手をリブゴルフに奪われないよう、新たなボーナス制度を創設したり、レギュラー大会の賞金を一気にアップさせて、賞金総額2000万ドルのシグネチャー・イベントを年間8試合も創設したりするなど、目まぐるしい変化を遂げてきた。 ここへ来て、今季とほぼ同じ日程で来季を迎えられることは、揺れ続けたPGAツアーがようやく一段落して安定期に入ろうとしていることを示している。 せっかく安定してきたのだから、今、ここで再び揺れ動くことはしたくないというのは、PGAツアーの首脳陣の本音であり、だからこそ、PIFとの交渉があえて後回しにされている感は明らかにある。