引退の齋藤彰俊が語る「記憶に残る3試合」1試合目の小林邦昭戦で感じた本物のプロレスラーの「強さ」
小林とは再戦で敗れたが、「反選手会同盟」から「平成維震軍」で行動を共にし、「すごく優しくて思いやりのある方でした」と感謝する。 今年9月9日、小林は膵臓がんで68年間の生涯を閉じた。都内の斎場で営まれた葬儀。祭壇には、数々の激闘のパネルが飾られたが、ひときわ大きい一枚が齋藤との一戦だった。そして、小林の娘から依頼され齋藤は告別式での弔辞を読み上げた。齋藤にとってはもちろん、小林にとっても齋藤はレスラー人生を語る上で忘れられない相手だったのだ。 「弔辞でも『もう一度お会いできると思います。その時にお話しさせていただきたいとと思います』とお伝えしたんですが、いつか向こうの世界で小林さんとお会いした時にゆっくり自分の思いをお伝えしたいと思っています」 (2試合目:三沢光晴が自分の技を受けた後に急逝 2カ月後に受け取った手紙に誓った決意>>) 【プロフィール】 ■齋藤彰俊(さいとう・あきとし) 1965年、宮城県仙台市生まれ。W★ING、平成維震軍を経て2000年よりノアに参戦。2002年9・23日本武道館でGHCタッグを獲得。2006年にノア所属となるが2012年から再びフリーとなり継続参戦。2014年6・13後楽園での試合後、再入団の誘いを受けて約2年半ぶりにノア所属となり、2018年7・28後楽園ではGHCタッグへ挑戦して約6年ぶりの同王座戴冠を果たした。2019年に井上雅央と「反選手会同盟」を結成。今年1月、潮崎豪が結成した「TEAM NOAH」に加入。同7月13日に日本武道館で行なわれた潮崎戦の終了後、引退することを表明した。
松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji