ドラ1の壊れていく右肩「痛いと言ったら終わり」 1人で隠れて治療…増え続けた“爆弾”
3年目キャンプで異変も首脳陣に申告できず…オフの検査で血行障害が判明
右手の不調は首脳陣に申告しなかった。申告できなかった。「だって、そこでまた『痛い』とか言ったら『日本に帰れ』って言われるから嫌じゃないですか」と言う。「マウイの時は肩も痛くなったけど、それも言いませんでした。夜にこっそりトレーナー室に行って、やいと(灸)があったので自分でやっていましたよ。熱いし、効くのかなと思ってね。そしたら火傷しました。痛かったけど、それも言いませんでしたね」と苦笑いも浮かべた。 そして、こう続けた。「今の選手は肩がどうのこうの、ってすぐ言うじゃないですか。ちょっとおかしいと思ったらね。で、治療なり間隔をあけるじゃないですか、そしたらすぐ投げるでしょ。僕らの頃は『痛い』って言った時は終わりですよ、だいたいのピッチャーが……。(治療にも)時間がもうずーっとかかるしね。やっぱり今の方が進んでいますよね。トレーニング方法も違うだろうし……」。 プロ3年目の中田氏の右肩、右手の状態は日によって違ったという。結局、いずれも特別な治療をすることなく、シーズンを終えた。その年はすべてリリーフの18登板で0勝0敗、防御率7.66と好結果を残せなかった。「右手は握力がなくなったら夏でも冷たくなったりしていたんですけどね。何とかごまかしながらやりました。それでオフに病院に行って検査したら血行障害でした。右腕の真ん中くらい、(血管の)一番太いところが詰まっていました。手術はしませんでしたけどね」。 高校時代の右膝痛、プロ1年目の右肩痛に続いてプロ3年目に血行障害。そのすべてが完治することはなく、故障歴だけが増えていった。「この後には右肘も痛くなるんですけどね」と中田氏は笑った。もはや笑うしかない感じで話した。まさに怪我と付き合いながらのプロ生活だった。
山口真司 / Shinji Yamaguchi