【再来年の愛車はこのカラーかも?】BASFがカラートレンド予測を発表
トーンは落ちつつも個性を追求
こういったキーワードをもとに各デザイン拠点において、さらに独自のコンセプトワードを用い、その市場と時代を表す特徴あるカラーを開発。 日本を含むアジアパシフィックのキーワードは、『SCINTILLATION(シンチレーション)』。「星の瞬き、輝きというイメージ」とのことで、キーカラーは、「金属調の色をいかにサスティナブルで実用性があるように作れるかにチャレンジしたカラー」だという。「いまあるソリッドやソリッド調の先を行くメタリックカラーで、さらにアップグレードしたメタリックを楽しんでもらいたい」と説明し、「通常は蒸着アルミなどを使うところを、通常のアルミに近いものを使用することで汎用性がある。アルミの配合性、並べ方を工夫するとともにローVOCを目指すことで、世界で一番厳しいといわれる中国のVOC規制に合うような、サスティナブルさも持ち合わせたカラー」とのこと。 また、金属調のカラーは、「ちょっと冷たい感じでコントラストが強くなるが、あえて温かみのあるブラウンみのあるグレーで開発することで、テクノロジーと人間とのコミュニケーションを表現している」と説明。 このほか、欧州・中東・アフリカは『HARBINGER’S INK(ハービンジャーズインク)』というワードで、これは、「先駆者、先を行く人たちというような意味。インクはブラックが特徴で、先駆者の作るブラックカラーというイメージ」だ。ここではサスティナビリティが一番のテーマで、ブラックの顔料は、「海藻から抽出。その背景にあるのは天然資源だ」と新たなブラックが提案されている。 アメリカは、『HOLDING SWAY(ホールディングスウェイ)』。「これはコントロールする人と抑える人という意味合いで、スウェイは振り子のように揺れ、それをホールドすることでコントロールしていこうという思いだ」と松原さん。そこでカラーも、「赤からパープルまで色が変化していく。これは2つの違うものが融合したように見え、その揺れ、相反する力をうまくコントロールすることが重要だという表現だ」と説明した。 自動車のカラーの7割が白・黒・グレーで占められている。この定番においてもこれから変化が求められており、新たなカラー表現が始まりつつあることを今回のテーマから読み取れた。同時に、サスティナビリティを考慮した新技術開発が重要になっていることも見逃せない内容だった。
内田俊一(執筆/撮影)