一人暮らしの母が「月10万円」の年金と貯金「300万円」で生活しています。すでに70歳ですが、もう少し貯金を増やしたほうがいいのではないでしょうか…?
高齢の母親が月10万円の年金と300万円の貯金で生活している場合、もう少し貯金を増やしたほうが安心して過ごせるのではないかと心配になるでしょう。今回は、シニア世代の資産運用について考えてみたいと思います。 ▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?
高齢者の平均生活費
総務省統計局の「家計調査(家計収支編)単身世帯 2024年4~6月期」によると、高齢単身者世帯の1ヶ月の平均消費支出額は表1の通りでした。 表1
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)単身世帯 2024年4~6月期」を基に筆者作成 65歳以上の高齢単身者世帯では、女性のほうが男性よりも平均消費支出額が高い傾向にあるようです。65歳以上の男性の単身者における平均消費支出額が14万3416円であるのに対し、65歳以上の女性の単身者における平均消費支出額は15万2623円と、男性より約9000円高くなっています。これは、健康管理、生活必需品の購入、その他の個人消費に関する出費の違いが影響している可能性が考えられるでしょう。 また、年金生活をしている高齢者にとっては、毎月の生活費が年金収入でまかなえるかどうかが重要な問題です。この消費支出額に対して年金収入が足りない場合、貯蓄を取り崩す必要があるため、将来的な生活設計や支出の見直しも重要になるでしょう。 ■約6割の高齢者世帯が年金だけでは生活が成り立たない状況にある可能性あり 厚生労働省が公表した「2023(令和5)年国民生活基礎調査の概況」によれば、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%にとどまり、残りの約6割は他の収入源、例えば貯蓄の取り崩しや、家族からの援助、あるいは何らかの就労収入を得ていることが推測されます。 つまり、約6割の高齢者世帯が年金だけでは生活が成り立たない状況にある可能性があるということです。
貯蓄を守り、増やすために:投資信託で資産寿命を延ばそう
年金だけでは生活費をまかなえず、貯蓄を取り崩しているといずれ資金が尽きるリスクがあります。そこで、資産をただ使うだけでなく、運用を始めることで資産が長持ちする可能性が高まります。 例えば、株式や不動産といった方法もありますが、老後資金の不足分を補う手段としては「投資信託」も有力な選択肢です。投資信託とは、投資家から集めた資金を運用の専門家が国内外の株式や債券などに投資・運用し、その成果を投資家に分配する仕組みの金融商品です。 日本は長らく低金利が続いているため、預貯金だけでの資産増加は難しい現状にあります。しかし、投資信託を活用すれば、預貯金より資産を増やせる可能性が高まるでしょう。 また、少額から始められ、複数の銘柄に分散して投資することで比較的リスクを抑えやすいという点もメリットです。投資信託は運用を専門家に任せられるため、投資経験の少ない方でも取り組みやすいといえるでしょう。