実際の機体を使って羽田空港で行われた救助訓練=2024年10月24日午後2時25分、東京都大田区、増山祐史撮影

　東京都大田区の羽田空港で24日、実機を使った航空機事故の訓練があった。1月2日に起きた日本航空（JAL）機と海上保安庁の航空機の衝突事故での課題を踏まえ、緊急車両の誘導やけが人の搬送手順などを確認した。訓練には国土交通省や東京消防庁、医師会など96団体から約1千人が参加した。 　訓練では、1月の事故と同様に休日の夜間に、国際線の旅客機が滑走路に着陸した際に機体の一部が滑走路に接触し、エンジンから火災が発生して機体が燃えたと想定。消防車やドクターカーなど車両153台のほか、消防のヘリも使われた。 　乗員乗客174人のうち74人が負傷したという設定は事前に伝えず、消防や医師、航空関係者が連携して対応にあたった。けががない人はバスでターミナルに運び、けが人は治療の優先順位を決めるトリアージを行い、仮設の救護所で医師が治療にあたった。 　1月の事故では、空港内での緊急車両の誘導に時間がかかったほか、現場指揮所の場所や責任者を把握できない人が多く、負傷者の情報収集に時間がかかったことなどが課題として挙げられた。同省は検討会を踏まえて13の訓練項目を拡充。また、空港での飛行機誘導や受け付けなどの地上業務を担う各社のグランドハンドリングの職員など空港の関係者が、事故時に連携することを明文化した。 　東京空港事務所の松岡慎治空港長は「1月の事故では負傷者の情報共有などが課題だったが、それを生かして改善できた。今後も関係機関で連携して訓練を続けていきたい」と話した。（増山祐史）