危険な「デジタルドーパミン」!!夏休みのスマホ依存症に要注意!
小学校で2時間まで
小学校までのこどもがスマホを見続けていい時間はどれくらいですか。 吉田「アメリカ小児科学会では、デジタル機器の画面を見ていいのは、2歳~5歳までのこどもは1日あたり1時間以下、6歳以上のこどもは健康的な使用を奨励しているということで、この場合はひとつの目安は2時間だという見解があります。 ただ、デジタルドーパミンの危険性を考えるとできるだけ少ない方がいい。特に現在こどもにスマホとかゲームを与えていないご家庭は夏休みデビューをさせずに、親はできるだけ粘った方がいいです」 デジタルドーパミンが出だすと、元に戻るのは難しいのでしょうか? 吉田先生「そうなんです。もちろん程度はまったく異なりますが覚醒剤と同じ仕組みです。脳内でA10神経という神経系が努力なしにドーパミンが出る。それを経験すると、自分の意思では離脱が困難になります。こういう仕組みについては覚醒剤と共通しています。実際、お子さんのスマホの時間を減らすというのは、親にとってはすごく大変です」
いい影響は?
スマートフォンには、いい影響がほとんどないのでしょうか? 吉田「それは確かにあります。スマホやゲームを行うとそのコンテンツに関する脳の機能は高まります。例えば敵と戦うゲームをやっていると俊敏に反応する能力が高まる。 まだ小学生なのに『信長の野望』というゲームを極めた結果、戦国武将2000人の名前とその人がどんな武将か全部記憶しているお子さんがいます。これはデジタルドーパミンの作用で記憶も脳に鮮明に刻み込まれるということが起きているためです。 その分だけデジタルドーパミンがなければ記憶に残りにくいので、そのお子さんは小学校の授業で習ったことはなかなか記憶できないです」
中学生でデジタルデビュー
吉田「今後さらにデジタル機器に依存した社会になっていくことは間違いないので、脳が適応するために、こどもにゲームとかスマホをさせた方がいいという意見はあります」 しかし、スマホやゲームはある程度遅くまで延ばした方がいいということでしょうか? 吉田「そうです。ひとつの区切りは中学生です。おとなになるまで、まったくデジタル機器を使っていないと、使いこなす能力が低かったり、デジタルストレスといって、使っているとストレスホルモンが急増したりします。 だからまったく触れずに大人になるのはよくないですけど、触れるのは脳の成熟が進む中学生以上で十分です」